「大小便で満杯に」災害時トイレ問題をどうするか 被災者が安心して使える「快適トイレ」の普及を

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ごみの回収もすぐには実施できないので、一定期間はベランダや庭等で保管することが求められます。におい対策として、ふた付きの容器、においが漏れにくい袋、消臭剤なども併せて備えておくと安心です。

トイレに大切なことは「安心」です。この安心は人それぞれ異なりますが、大事なのは日常に近づけることです。そういった意味で、日頃使い慣れた建物内のトイレ空間を有効活用できるのが携帯トイレです。

プライバシーが確保され、鍵もかけられます。夜間に屋外のトイレに行くのは怖いでしょうし、悪天候時も同様です。また、エレベーターは止まっていますので、トイレのたびに階段を下りて屋外に行くのも容易ではありません。足腰が悪ければ無理です。このようなときに役立つのが携帯トイレです。

携帯トイレ

最近は、停電になる機会も少なくありませんので、携帯トイレの備えは必須です。具体的な使用方法を動画で紹介していますので、参考にしてください(携帯トイレの使い方の動画はこちら)。

仮設トイレから快適トイレへ

仮設トイレは外部から調達する場合が多いため、配備にどのくらいの時間を要するかわからないのは事実ですが、調達するための準備や設置場所を決めておくことは重要です。

従来型の仮設トイレは、和便器で使い勝手が悪いというイメージがあると思いますが、最近は仮設トイレの快適性が大きく改善されつつあります。そのきっかけになったのは、国土交通省が建設現場の職場環境改善の一環として、仮設トイレの標準仕様を決めたことです。

この標準仕様をクリアした仮設トイレを「快適トイレ」といいます。快適トイレは、洋便器で空間的なゆとりがあり、簡易水洗機能などを有しており、照明や鏡、フック、容易に開かない鍵などを備えています。

仮設トイレが主に活用される場所は建築・建設現場ですので、この現場におけるトイレが快適トイレに変わるということは、平時から地域で流通している仮設トイレが変わることを意味します。つまり、地域の建築・建設現場やイベント時の仮設トイレがすべて快適トイレになれば、災害時に快適トイレが届けられるようになる可能性が高くなるということです。平時から地域におけるトイレの防災力を高めることになります。

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2020年7月豪雨の際には、熊本県球磨村の渡小学校に快適トイレが寄付され、子どもたちの笑顔につながりました。一刻も早く、日本中のすべての仮設トイレが快適トイレに置き換わることを期待します。

私たちはトイレが不衛生だったり、不便だったりすると、水や食料を摂ることを控えてしまいます。また、不衛生な環境では、医療は成り立ちません。命と尊厳を守るためにも、水・食料とセットでトイレを備えることが必要です。

快適トイレ
球磨村立渡小学校(仮設校舎)に株式会社 ビー・エス・ケイより寄付された快適トイレ(写真:日本トイレ研究所提供)
加藤 篤 日本トイレ研究所代表理事

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かとう あつし / Atsushi Kato

まちづくりのシンクタンクを経て、現在、特定非営利活動法人日本トイレ研究所代表理事。災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校教諭等を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業などを展開している。「災害時トイレ衛生管理講習会」を開催し、災害時にも安心して行けるトイレ環境づくりに向けた人材育成に取り組む。排泄から健康を考える啓発活動「うんちweek」を展開。循環のみち下水道賞選定委員(国土交通省)、東京都防災会議専門委員(東京都)など。著書は『もしもトイレがなかったら』(少年写真新聞社)、『うんちはすごい』(株式会社イーストプレス)など。

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