――いいこと尽くしですね。でも、「住宅や教育などで大きな出費があると一気に赤字になったりして凹む。だから家計簿をつけられない」という声もあります。
家計簿をつけ始めることが多い1月や4月は臨時出費が多い時期ですよね。それでテンションが下がってしまう人は確かに少なくありません。でも、臨時出費は問題ないのです。例えば、年に2回のバーゲンで洋服を10万円分買うと決めているならば、その月の臨時出費10万円は気にする必要はありません。
気にするべきは、毎月のランニングコストのほうです。ネットで「キャッシュフロー表」を探してダウンロードして記入してみてください。100歳まで生きると仮定すれば、月1万円の出費を削るか削らないかで資産形成に大きな影響が出ることがわかるでしょう。
――晩婚さんの多くは生活習慣や趣味が良くも悪くも確立しています。長年の消費行動をなかなか変えられない人も少なくありません。
その気持ちはわかります。例えば化粧品のレベルはなかなか落とせませんよね。だからこそ、夫婦で価値観を共有し、自分たちの資産を把握して、キャッシュフロー表を作ることが重要なのです。今後の資産形成の計画に沿って貯める仕組みができ上ると、自分の中で何かが抜け落ちるのがわかります。それは見えだったり無駄だったりするのでしょう。大して好きでもない人との付き合いなどはしなくて済むようになります。
老後のことをモヤモヤしながら先延ばしにできる20代とは違って、晩婚さんには悩んでいる時間はありません。それをメリットに変えてすぐに行動すれば、本当にやりたいことに気持ち良くお金を使えます。安心した分だけお酒が美味しくなりますよ(笑)。
インタビュー後、老後の資金を試算してみた
鈴木さんのアドバイスに従って、自分のささやかな資産を把握してから「老後に足りなくなる金額」を試算してみた。筆者はフリーランサーなので退職金などはない一方で定年もない。健康に留意して75歳まではなんとか貯金を切り崩さずに働くと想定。しかし、その先に年金以外は無収入の25年間が待っている。長いな……。恐る恐る計算したら、かなり慎ましく暮らしても1250万円も不足することが判明した。
ただし、今40代半ばなのであと30年間ほどは働ける。月で割ると、3万5000円を「先取り貯蓄」すればいいことがわかった。この金額ならばなんとか実行できるかもしれない。一部は鈴木さんおすすめのiDeCoにしようかな。
資産形成の計画を立てると無駄遣いが少なくなる、という鈴木さんの指摘は本当だった。在宅で働いている時間の長い筆者の場合は、「食事を作るのが面倒だから外食する。なんとなく心寂しいから飲みに行く」ことが減り、自宅で具沢山味噌汁や酒の肴を作ることが増えた。
だからと言って外食しないわけではない。本当に好きな人と、ぜひ行きたい店での会食は大いに楽しんでいる。将来への漠然とした不安でイライラすることも少なくなったので、夫婦関係にも良い影響を与えると思う。最低限の備えをしておけば、今を思い切って生きることができるのだ。
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