再建15年、福井鉄道「尖った新型車」に込めた思い 期待膨らむ?乗客増の立役者「フクラム」後継車

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車両は中間に長さ約3.5mの短い車体を配した3車体の構造で、全長は約21.4m。床下に台車がある運転席の直後と中間車両の座席部分に段差があるのを除けば床面はほぼフラットで、低いホームから段差なしで乗り降りできる。座席は長手方向のロングシートで、進行方向に対して直角配置のクロスシートだったF1000形と比べて通路幅をほぼ倍の1.4mに拡げ、車いすでも利用しやすくした。ドアには折りたたみ式のスロープも設置している。

フクラムライナーの車内
車内は座席部分の一部に段差があるが通路はフラットだ(記者撮影)

また、地域性の演出として、車内の吊り革の一部は「越前ガニ」と、鯖江市の西山動物園で有名なレッサーパンダをかたどったデザインに。「メード・イン・福井」もコンセプトの1つで、座席表皮は自動車シート表皮材で世界シェアトップの地元企業、セーレンの素材を採用した。

低床でも「普通の電車」

製造は、全国各地の路面電車に低床電車「リトルダンサー」シリーズを納入しているアルナ車両(大阪府)が手がけた。F2000形は同社が「リトルダンサー タイプL」と呼ぶ、シリーズ中でも大型のタイプだ。同社の田島辰哉社長は、「低床車両だが、できるだけ『普通の電車』にしようと思って造った車両。福鉄は路面区間もあるがほとんどは鉄道線なので、大型で速く走れる設計にした」と構造上の特徴を説明する。

同じ低床車両でも、メーカーの違うF1000形とF2000形ではメカニズムが大きく異なる。F1000形は床面を低くするために、左右の車輪同士をつなぐ車軸がない特殊な構造。福鉄の車両担当者によると、ブレーキも国内の鉄道車両で一般的な空気圧による制御ではなく、油圧を使用するなど特別な部分が多い。海外製部品も各部に使用しているという。

一方、F2000形は車軸のある一般的な構造の台車を採用している。「F1000形は特殊な構造のため車輪の交換頻度が従来車より高いが、F2000形は従来車と同様なのでコストダウンになる」と車両担当者。ブレーキは回生・発電ブレーキを併用する空気ブレーキ、各種の機器類も調達の容易な国産品を使用する「普通の電車」だ。

車両担当者は、「F1000形の乗りやすさと、メンテナンスが容易な従来車の『いいとこ取り』」と新型車を評する。車体下部もF1000形と比べて約10cm高くしており、積雪時の走行安定性も高まるという。

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