全然盛り上がらず「自民党大会」裏にある不協和音 政治的重要イベントなのに国民の注目度も低い

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党大会での岸田演説のポイントは①広島G7サミットの成功、②構造的な賃上げ実現、③コロナ対策の転換、④次元の異なる子育て政策、⑤憲法改正の早期実現、とこれまでどおりの内容。その中で、岸田首相が春の政治決戦に向けて「まなじりを決して、必ず勝ち抜こう」と叫んだ際には、会場から拍手が巻き起こった

ただ、党大会の全般的な雰囲気は「党内の不協和音への不安と戸惑いから盛り上がりに欠けた」(閣僚経験者)のは否定できない。大会閉幕後、茂木氏は「(統一補選は)政権の真価が問われる」とまゆをひそめ、石破茂元幹事長は「自民の議席を1つでも落としたらいけない」と指摘した。

「今動いても損するだけ」との声も

折しも、日経新聞とテレビ東京が党大会の当日までに実施した世論調査では内閣支持率は43%と4ポイント上昇、40%台の回復は2022年10月以来4カ月ぶりとなった。コロナ対策でのマスク着用緩和、日銀総裁人事などが評価されたもので、「それも党大会での岸田首相の高揚につながった」(周辺)とみられている。

確かに、自民党内で反岸田勢力による政権運営への批判は広がりに欠ける。「根源的な不満はくすぶっているが、有力なポスト岸田も存在せず、今動いても損するだけ」(無派閥若手)との声が支配的だからだ。

統一地方選を目前にして、立憲民主、日本維新の会など有力野党の支持率は低迷したままで足並みの乱れも目立つ。このため、自民党内の一部には「予算成立直後に解散を断行して4月23日の政治決戦(衆参補選)に持ち込めば、自民は負けない」との声も出始めている。

しかし、岸田首相周辺は「総理は広島G7サミットの成功にかけており、その前の解散などまったく念頭にない」と否定。さらに、自民党内にも「いくら野党がバラバラでも解散すれば多くの自民現職が落選するので、みんな早期解散には反対だ」との見方が支配的だ。

このため、自民党内の権力闘争は「4月の政治決戦の結果をみてから」(安倍派幹部)となる可能性が大きく、しかも「野党が大躍進でもしないかぎり、低空飛行でも岸田政権が続く」(自民長老)という状況が変わりそうもないのが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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