全然盛り上がらず「自民党大会」裏にある不協和音 政治的重要イベントなのに国民の注目度も低い

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さらに、自民党が水面下で出席を働きかけていた芳野友子連合会長の山口、十倉両氏に続く登壇も、結局実現しなかった。連合内部で「統一地方選が戦いにくくなる」との懸念が噴出し、自民党も正式な招待を見送ったとされるが、党執行部は落胆を隠せなかった。

そうした中、党大会の進行は予定以上のスピードで進み、茂木敏充幹事長の党務報告、小渕優子組織運動本部長の運動方針発表などを受けて、大トリとなる岸田首相の総裁演説が始まったのは予定より5分早い午前11時半だった。

ただ、15分間の予定だった総裁演説は、「歴史の転換点に立ち、もう一度(政権に復帰した)10年前の原点に立ち戻って、徹底的に国民の声に向き合う」「民主党政権で失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻す」などと声を張り上げるなど、約26分と大幅な時間超過。岸田総裁の音頭で「勝つぞ」とこぶしを振り上げて三唱し、正午過ぎに閉会した。

岸田首相にとって就任から約1年半となるのが今回の党大会。国会での2023年度予算案衆院通過は目前で、国際社会の激震を招いたロシアのウクライナ侵攻から1年を過ぎたばかりという「政治的節目」での開催だけに、メディアは同時進行で岸田首相の発言を報じた。

ネット中継の書き込みは「批判」と「礼賛」が交錯

当然、党大会の模様は自民党ホームページとニコニコ動画で生中継された。しかし、どちらも視聴者は極めて少なく、画面に書き込まれるコメントも「ほとんどがいわゆる関係者の反応ばかり」(自民党事務局)。ニコニコ動画は中継開始前の待機視聴者はわずか数人で、中継開始後もほとんど増えなかった。

しかも、書きこまれたコメントは批判と岸田政権礼賛が入り交じり、反自民とみられる視聴者は岸田首相に対し「国民のため、日本のため、早く辞めて」などと猛批判。これに対し礼賛派とみられるグループは「岸田総理頑張れ」「長期政権確実」などと書き込んで対抗した。

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