仕事のできるいい人ほどハマる「我慢」のワナ 頼りにされる人ほど無意識の我慢に気づかない
こういう人は一見、我慢しているようにも、無理をしているようにも見えません。頼まれた仕事はめったに断らないため、周囲からは「仕事のできるいい人」だと思われがちです。
とは言え、どれほど仕事のできるいい人でも、次から次へと仕事をこなせば身体も心も疲れていきます。一見、無理をしていないように見えるかもしれませんが、実際は疲れがたまり、調子が悪いことにも気づいていないおそれがあります。
断ったほうがいいかな。別の人に頼もうかな。でも、そういうことをしている間に自分でやったほうが早いな。能力のある人ほど、このような思考サイクルの中で、ストレスをためていくのです。
「やろうと思えばできる」は危険信号
我慢を感じるとは、言い換えれば「嫌な気持ち」を感じているということです。
「残業がなければ早く帰れたのに」
「この仕事のせいで自分が割を食った」
このような、我慢がもたらす「嫌な気持ち」、不快感はできれば感じたくないものですが、この不快感は実はとても重要です。「そろそろ限界だ」「これ以上できない」ということを、自分自身に知らせるサインだからです。
不快感のサインがあれば、人はおのずと我慢を避ける方向に行動します。断るなり、誰かに頼むなり、相談するなりして、何とか自分を守ろうとします。なかには、我慢した揚げ句に無断欠勤したり、突然会社を辞めたりするなどの行動をとる人もいます。
社会的に見れば非常識な行為ですが、当人自身を守るための行動と考えれば、あながち不可解とも言えません。我慢のサインを受けとめて、自分が壊れる前に手を打ったのですから、ある意味、まっとうな判断と言ってもいいかもしれません(もちろん、これを繰り返すようではまっとうとは言えないのですが)。
ところがこれに対し、能力が高く、やればできる人は、「嫌な気持ち=我慢の不快感」をほとんど感じていません。多少は感じているかもしれませんが、「もめ事を起こすこともない、やればできる」という考えのほうが勝っているので、それが我慢の第一歩とは気づいていません。
そこから始まって、「これもできる……」「まだ大丈夫……」と、いつの間にか自分を追い込んでいき、遅くまで仕事をして、食事の時間も不規則、自宅には寝るために帰るだけ。そして睡眠不足と疲労の蓄積といった悪循環に陥っていきます。
意志の力だけで、体力や感情の疲労を抑えることはできません。自分を守るどころか、どんどん追い込んでいく可能性が高いことを意味します。
「やろうと思えばできる」という考え方自体、考えと意思のみで自分に「やろう!」という決心を促がし、体調や気持ちを無視しているからです。
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