マーケットの大波乱はいつ起きるのか 日経平均は再び2万円目指し上昇へ

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一方、海外投資家の買い越し・売り越しを同じように取って、勝ち負けを数えると、11勝1敗だ。外国人の方が、格段に国内株価動向に影響を及ぼしている。

5月上旬までは「業績織り込み」で株価上昇、その先は?

では、なぜ日本株は米国離れを始めたのか。それは、現在の相場が、日本経済・企業収益の改善を評価し始めたからだろう。だからこそ、4月1日(水)に日銀短観の内容(2015年度の設備投資計画が前年度比減少など)が失望を呼んだ日に、日経平均株価が一時1万9000円を割れて下落したと考えられる。

日本の大企業はいつも慎重なので、日銀短観の結果は割り引いて考えた方が良い。4月下旬から5月上旬の決算発表に向けて、日経平均は「意外な」好業績を織り込み、それまでに2万円超えを見せる局面がありそうだ。

このため、今週の日経平均株価は、2万円超えの途中過程として、1万9100~1万9700円を予想する。ただしおそらく5月中旬辺りからは、世界的に株式市場は大波乱に見舞われる恐れがある。

これは、主に以下の3つの理由による。

1)6月あるいは9月の米利上げを前に、米長期金利が勝手に跳ね上がり、米国株や米ドル相場に波乱が生じる可能性がある。

2)ギリシャ向け支援策の期限が6月末となっており、それが延長されるかの不透明感が高まりうる。

3)前述の国内企業の好決算を、5月上旬までに織り込み切ってしまい、好材料が一巡する、という理由による。

まだ大波乱には間があり、慌てる必要はない。ただし、ギリシャを巡る財政支援にはすでに暗雲が漂い始めている。米利上げを待たずに、米国株価の疲労感が強まってしまう展開も否定はできない。目先の国内株価上昇による利益を欲張らず、防衛的に現金保有をゆっくり増やしていってもよいと考えている。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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