マーケットの大波乱はいつ起きるのか 日経平均は再び2万円目指し上昇へ
もう一つの米国株の疲労の背景は、「米国しか買うものがない」というシナリオの行き過ぎだ。世界を見回すと、米国経済が最も堅調で安定感があることは事実だろう。とは言っても、「米国株しか安心して買える株はない」「米ドルしか安心して買えない」という見方が、余りにも行き過ぎたのではないか。
たとえばS&P500株価指数のPER(株価収益率、株価÷1株当たり予想利益、米ファクトセット社調べ)をみると、先週の平均値は17.3倍で、近年のピーク(18.5倍、2010年1月)に近い。つまり利益の増加よりも株価上昇が速すぎる状態で、今後のさらなる企業収益の増加を、株価が待つ必要がある。
米ドルも、対円で3月10日(火)に瞬間122.01円をつけた後、同様に疲れた相場付きになっている。米ドル高が輸出企業の収益を圧迫し、そうした企業が雇用を抑制するとの懸念も浮上し始めており、一段と米ドル相場が上伸することは難しくなっている。
ただ、米国経済・企業収益自体は回復基調を続けているため、こうした市場の疲労は、相場がしばらく休めば、いずれ元気を取り戻そう。
日本株の「米国離れ」の理由は、本当に「クジラ」なのか
こうして米国株式市況や米ドル相場は、大きく崩れずとも、いったんお休みになるだろう。しかし一方で、国内株価の動向は、米国株離れを見せている。
この米国離れの本質は、クジラ、つまり「GPIFなど巨大な公的資金の買いだ」として、日々の株価の動きまでをも、GPIFの買いで解説する向きがあるようだ。
本当にそうだろうか。1~3月の各週について、データできちんと分析したい。まず「毎週末の日経平均株価が、前週末から上昇したか下落したか」を調べてみる(ただし、1月第1週末(1月9日(金))は、昨年の12月30日(火)との比較)。
加えて、信託銀行の売買データを取る。GPIFは信託銀行に資金管理を委託し、信託銀行経由で売買が行われるからだ。ここで、信託銀行の買い越し(あるいは売り越し)と日経平均の上昇(あるいは下落)が一致した週は「勝ち」、売買と株価騰落が逆になった週は「負け」とする。すると1~3月の12週間の勝敗は、5勝7敗となっている。公的資金が日本の株価動向を左右しているという説は怪しい。
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