差別発言「オフレコ破り」記しておきたい重要論点 政府関係者も企業幹部も一般人も心得ておきたい事
とはいえ、約束を破った記者やメディアが「オフレコ破りで正義を守った」などと持ち上げられるのもおかしな話です。オフレコ破りが横行するようになれば、被取材者もメディアを警戒して情報を出さなくなってしまうでしょう。結果として読者や視聴者に伝えられる情報は減ってしまいます。
また、前首相秘書官が差別的な発言をした際に、記者たちがきちんと「その発言は問題だ」と反論したのかどうかもわかりません。仮に私がその記者の立場であれば、差別発言があった場で直接批判をしたのではないかと思います。
企業人も問題発言には注意
問題はオフレコ破りの基準が決まっておらず、メディア各社に判断がゆだねられていることです。しかもその基準は時代の流れで変化し、より厳しくなるため、なかなか設定が難しい面があります。
いずれにせよ今回のオフレコ破りは、政府関係者はもちろん、メディアに対応する企業の幹部や広報担当者にも多くの教訓を残しました。私は、オフレコ破りの可能性を高める基準の1つは差別だと考えています。メディアには信頼できる記者も多くいますが、彼らは自分の家族というわけではありません。オフレコ取材だったとしても、差別発言やそれに近い発言は避けるべきでしょう。
仮に記者がオフレコの約束を守り、報道しなかったとしても、彼らの心の中には「この人は以前、こんな発言をしていた」という記憶が刻まれています。企業幹部や広報担当者がつい漏らしてしまった差別発言が、企業イメージに傷をつけることもあるのです。その企業が不祥事を起こした際に、このイメージが記事のトーンに影響を与えることも考えられます(人間が差別的な感情を完全になくすことはできないという考え方もありますが、少なくともそれを発言したり、態度に出さないようにしたりすることを徹底しなければなりません)。
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