新日鉄住金「ブラジル合弁内紛劇」の行方

ことごとく食い違う合弁相手の証言内容

両社は最初から対立していたわけではない。2012年1月、新日鉄住金は持ち株を手放したブラジルの大手セメントメーカー・ボトランチンの代わりに、テルニウムをウジミナスの経営に引き入れた。CEOにはテルニウム出身のエグレン氏が就任、任期は2012年4月~2014年4月までの2年間で両社は合意していた。

広大な面積を誇るイパチンガ製鉄所

ところが、蜜月関係は突如終わりを迎える。両社が対立を深めていったきっかけは、CEOの選出を含めた経営体制をめぐる意見の食い違いだったようだ。

テルニウムの説明によれば、2012年に株主間協定が結ばれた段階で、CEOの選出方式は両社の合意が必要な「コンセンサス方式」を取っていた。その後、新日鉄住金から「エグレン氏の任期を2年延長するので、CEOの選出はコンセンサス方式から4年ごとに相互の会社から選ぶ『ローテーション方式』に変更する」という提案があった。

テルニウムがコンセンサス方式を主張したため、両社の意見は折り合わず、2年間の任期が切れた2014年4月以降もエグレン氏が暫定CEOにとどまる異常事態となった。

エスカレートする両社の対立

新日鉄住金側は2社間でのやり取りについてノーコメントを貫いた

こうしたテルニウムの主張に対し、新日鉄住金は「2社間でどういったやり取りがあったかは公表すべき内容でない」として、コメントには応じなかった。

株主間協定とはブラジル独特の制度で、役員の選任や株式の売買など重要事項について大株主が優先的に決定する権利を持つというもの。2012年の協定締結時点では、協定内の持ち株比率は新日鉄住金を含む日系企業グループが46.1%と、テルニウムの43.3%を上回っていた。新たに購入した株を協定に盛り込んだり、内容を変更するには、両社の合意が必要だ。

人事をめぐる対立は、さらにエスカレートしていく。新日鉄住金によれば2014年5月、テルニウムによれば同年4月の社内監査で、前述の報酬問題が表面化。そこで同年7月から9月にかけて、アーンスト&ヤングとデロイトの2社によって社外監査が行われた。

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