すき家、なぜ今になって「牛丼値上げ」なのか 浮かび上がる"2つの伏線"と"1つの疑問"

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1つはライバルの動向だ。吉野家は牛肉価格の高騰を理由に、昨年12月に牛丼並盛を300円から380円に変更するなど、一足早く大幅な価格改定を実施。メニュー全体の65%に当たる25品目で30~120円の値上げに踏み切った。

もう1つは、すき家と同じゼンショーHD傘下である「なか卯」の値上げだ。同社は昨年2月に定番商品だった「和風牛丼」の販売を中止。すき家、吉野家、松屋の牛丼大手3社との違いを鮮明にする狙いだった。

代わりに投入した「牛すき丼」の販売は当初堅調に推移していたが、昨年10月に同商品の値上げを実施したことで潮目が変わる。値上げ直後から客数が前年実績を割り始めたのだ。

「消費者から『和風牛丼を復活して欲しい』という声も相次いだ」(ゼンショー)こともあり、3月中旬から全国の店舗で和風牛丼の販売再開を決断。牛すき丼の販売を終了した。

復活した和風牛丼は、タレに和牛脂を加えるなど品質向上を図った。ただ、かつての和風牛丼と比較して明らかに変わったのは値段だ。牛肉価格の高騰を理由に、再開前は並盛290円だったものが350円になった。ゼンショーHD傘下のなか卯が値上げに踏み切ったことで、すき家の値上げも時間の問題とみられていた。

牛肉価格は下落に転じていた

ただ、ここで1つの疑問が生じる。今回の価格改定で、値上げ理由の1つとして「牛肉価格の高騰」を挙げている点だ。

確かに、米国で発生した干ばつの影響で、牛丼に使用する米国産の冷凍ショートプレート(バラ肉)の価格は昨年10月に1キログラム当たり1080円となり、前年同月比で2倍もの価格にまで上昇した。ところが、その後の牛肉価格は下落に転じているのだ。

今年1月には1000円を切り、2月には904円まで下がった。農畜産業振興機構による大手卸売業者を対象とした調査では、直近の3月23~27日の相場は770~820円まで下がっている。

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