今年のバレンタインは地味でも意外と悪くない訳 賛成と否定に二分、「本命」「義理」は時代錯誤に

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ただそれでも実際に売り場のフロアを見ると活気がありましたし、楽しそうな表情でチョコレートを選ぶ女性たちの姿であふれていました。しかし、同時に「……ということは、義務のように『義理チョコ』を買う人が減ったんだな」と気づかされたのです。

若年層のコスパ意識が高いことに加えて、チョコレートに限らずスイーツの種類が増え続けていること、コンビニやスーパーで売られるスイーツのレベルが上がり続けていること、そしてコロナ禍がバレンタインデーに影響を与えているのは間違いなさそうです。

「義理チョコ」が消滅しない理由

私が取材している中で、もう1つ気になったのが、「ホワイトデーのお返しに気をつかわせるだけ」「『ハラスメントだよ』なんて言われたら嫌だから」という声の多さ。世代や恋人の有無を問わず、このような傾向が見られたのです。

インテージの「職場の義理チョコって、どう思う?」という調査では、女性の17.2%が「参加したい」、82.8%が「参加したくない」という結果でした。しかもすべての年代で75%を超えるなど、大半の女性が「職場の義理チョコ」に否定的なようなのです。

ただ、「それならやめればいい」と簡単にいかないのが難しいところ。もらう側の男性は「うれしい」が38.6%、「うれしくない」が61.4%と、現在もポジティブな人が約4割を占めています。さらに取材した実感としては、「ないとちょっと寂しい」という男性の声も多く、ほしい人がいる限り「義理チョコ」が消滅することはないのだろうと思わされました。

調査結果で特筆すべきは、20代男性の66.3%が「うれしい」と答えていること。未婚者が多い年代だけに、ハラスメント予防やコロナ禍でコミュニケーションの機会が減ったことで、バレンタインデーを良い機会と捉えているのかもしれません。

また、2010年代にブームとして報じられた「友チョコ」については、取材したある大学生が「友チョコを贈り合うのは高校生まで」と言っていました。インテージの調査でも「友チョコ」を用意するのは15~19歳が71.2%で、次は20~29歳の11.2%、それ以外の年代はすべて1桁という極端な結果だったのです。

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