今年のバレンタインは地味でも意外と悪くない訳 賛成と否定に二分、「本命」「義理」は時代錯誤に

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しかし、私の取材でも「バレンタインはスルーします」「友達の間でも『やらない』って決めている」と話す20代女性が過半数を占めました。その理由を聞くと、真っ先に「今どきチョコを渡して告白なんてする人はいない」「そもそも恋人を作るときに“告白”という手段を取らない」などと「本命チョコ」の存在をバッサリ。男女を問わず「振る、振られる」という行為を避けたがり、軽めの誘いから徐々に近づいていく形を採りたい人が多いようなのです。

一方で恋人がいる人からは、「彼が『チョコは食べないからいらない』って言うから」などの現実論が挙がりました。ところが、さらに聞くと、その彼は「甘いものが嫌いではない」とのこと。むしろ「コンビニのモンブランやロールケーキなら喜んで食べる」「この日だけチョコレートに絞る意味がわからない」と言っていました。

レベルが上がったことによる温度差

さらに「チョコレートを買うとしても、バレンタイン用の商品ではなく、コンビニやスーパーで売っているもので十分だし、コスパもいい」という声もありました。そんなコスパ意識の高さは、百貨店の洋菓子売り場にも影響必至。実際ある販売員は、「数年前からお客さんの層がガラッと変わりました」と話していました。

では、なぜ客層が変わったのか。その販売員は、「チョコレートがハイレベルでオシャレになったことで、チョコレートが好きな人の熱はかなり上がりました。でも、『どちらでもない』という人との温度差が広がったと思います」と語っていました。「売り場は賑わっているけど、客層は狭くなり、好きな人がたくさん買うようになっている」ということでしょう。

また、別の販売員は、「やっぱりコロナ禍で『なし』というケースが浸透したことが大きかった」と話していました。そして今年も、「まだコロナ禍だし、『なし』でいいよね」という理由付けになっているのではないかとみているようです。「バレンタインデーに限らず2020年の春以降、人と会う機会が減り、会っても物を贈り合うことをためらう人が増えて、ふだんの贈答用や手土産も以前の売り上げまで戻っていない」とも言っていました。最近の物価高にも言及するなど、最後まで景気のいい話は聞こえてこなかったのです。

次ページ義務のように「義理チョコ」を買う人が減った
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