JR西日本、梅田エリア「座って通勤」拡大の切り札 特急列車を増発、「Aシート」は新車両を導入

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デザインは先行の223系Aシート車両を踏襲しているが、細部ではところどころに違いがある。「細かい割り付けに苦労した」と車両開発を担当したJR西日本鉄道本部車両部車両設計室の鶴岡誠治課長が苦労談を明かす。

まずエクステリアではこれまでの両開きドアに代わって、片開き1枚ドアが採用されている。戸袋を片方へ寄せることで、車内空間を広く取るための工夫だ。

続いて車内に入ると、トランクも収納できる大きさの荷物置きスペースを備えたデッキがあり、その先が客室だ。デッキと客室の間のパーティションの形状も変わった。引き戸を設けてはいないが密閉感が増し、より特急らしい雰囲気がある。「223系を改造したAシートと異なり、今回はAシート車両を最初から設計、新造しており、いすと窓の位置関係にずれがない」(鶴岡課長)。

座席は従来車と同じ

客室で現行のAシートとの大きな違いは、225系が採用している天井の車内案内ディスプレーが導入されていることだ。運行案内などさまざまな情報を確認できるのは便利である。車内防犯カメラも設置した。

座席は先行のAシートと同じ。鶴岡課長によれば、「今回は新造車両ということで座席の取り付け方法が若干違う」といった違いしかないとのことだ。肘掛けに電源コンセントが付き、無料Wi-Fiサービスも使えるという点は223系のAシートと同じだ。

もっとも、座席定員は44人で、223系Aシートよりも2人少ない。「荷物スペースの設置や出入り口付近のスペースを拡大する」ためという。また、シートピッチも先行Aシートの970mmから944mmに変更された。やや狭くなったがリクライニングしない状態の背もたれの角度を調整して狭さを感じないようにしたという。

225系ならではの特徴として、衝突時に列車の前面にかかる衝撃を車両上部に逃す「衝撃吸収構造」を取り入れて乗客や乗務員の安全性を高めている。こう考えると、今回のAシートは223系Aシートと同じものを目指しながらも、どころどころで進化している。

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