中国人エリートたちが語る「日本移住」選んだ真因 日本が高度人材を増やすのに欠けている視点は
国際的視野というのは、「英語を勉強させる」と思われがちだが、もっと深いビジョンを持つことを指す。「言葉はあくまでツール。多言語を多文化の環境で駆使することにより、論理的思考の育成や、自分ならではの考え方・伝え方の習得、そしてさまざまな意見に対する理解とディベートの力を身につけてほしい」と考えている。
従って、中国国内や香港のインターナショナルスクールだと、生活環境が変わらない点が物足りなく感じた。一方、欧米だと、オーストラリアで人生の半分以上過ごしたAさんには新鮮味が少ないという。そこで、英語・中国語だけではなく、日本語と日本文化も修得できる日本はよい選択肢になった。
Aさん夫婦が日本に酔心したきっかけは、日本観光だった。社会も人も秩序があり、どこに行っても安全だし、生活・教育のコストも先進国の中ではダントツにコスパがよいという。同じ系列のインターナショナルスクールにおいても、日本校がお得で入りやすいのではないか――。夫が日本語を学んだことがあるし、中国国内でもビジネスを持っているので、生活を維持するのに問題ないと判断し、日本移住を目指すことにした。
中国の不動産を1つ売り、即金で一戸建てを購入
紆余曲折あったが、無事に東京に拠点を構え、少しずつ生活を整えるようになった。夫は中国国内の不動産の1つを売り、即金で東京で最も人気なエリアの一戸建て住宅を購入し、日本でのビジネスもスタートした。子供も友達ができ、保育園の申請もスムーズにできた。今後、中国・オーストラリア・日本といった少なくとも3つの文化圏のバックグラウンドを持つ子供の成長を見るのが一番の楽しみだという。
「子供と一緒に寝そべり族になりたい」
多様性のある教育環境を求めて来日したAさんと違い、「頑張りすぎるのは嫌だから」と日本へ来たのは上海出身のBさんだ。小学校低学年の息子を持つ30代後半で、容姿端麗で教養も高く、「大都市のお嬢様」である。
国有航空会社の管理職を務めており、自分の親も義理のご両親も息子の面倒を見てくれる。住宅も、どんなに買いたくても買えないとさえ言われる、いわゆる有名校の学区に持っている。お金・親の支援・学校と子育てに必要な環境が揃っているが、思ったほど楽ではなかったようだ。
Bさんは、小さい頃から何でも持っているからかもしれないが、競争心が強くない性格である。実力があっても、グイグイ勝ち抜くことに関心が持てず、自分の生活が快適であればよいと思う「寝そべり族」だ。
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