中国人エリートたちが語る「日本移住」選んだ真因 日本が高度人材を増やすのに欠けている視点は
息子は近くの公立小学校に入れたが、学力レベルも高く、外国人生徒へのフォローも充実しているので、満足しているようだ。宿題が少なすぎで学力低下を心配しているが、しばらくは家族団らんなどを通じて子供らしい生活を取り戻すと同時に、親子ともども心のバランスを安定させたいと考えている。
日本は天国ではない
AさんもBさんも家族で日本での暮らしは滑り出し順調に見えるが、実は悩みも少なくないと話す。
例えば来日の準備にあたり、日本語がわかっても、闇の移民仲介業者に騙されたり、不動産会社に不当な支払いをさせられたり、さまざまな手続きについて不適切な情報や、不十分な情報提供に悩まされていた。
また、公園のママ友の縄張り意識や、日常的に遭う中国人/外国人に対する差別的な態度に2人ともびっくりしている。「観光客として来た時の日本は完璧だったが、暮らしていると、いろいろな試練が待っている」と困惑する在日外国人は少なくないだろう。
そして最大の問題は、日本語がわからないエリートに働く場がないことだ。AさんもBさんとも、中国や他の先進国では、言語力・教養・専門性などを発揮できる場がいっぱいあるのに、日本に来てからは「自分はユースレスだと実感している」と落ち込んでいる。
区役所の日本語教室などに通っているが、ビジネス日本語や日本のビジネス実情を理解するのに、どうすればいいのかはわからないし、これから日本で仕事したいが、信頼できる人材紹介のエージェントすら見つけられなという。何というもったいないことだ!
留学生を含めて、少なくとも中国からの30代以下の新移民は過去の移民と明らかに違う。出稼ぎのために来日する人は少なく、お金持ちになってから日本文化が好きで来日した人が多い。
日本政府は目下、高度人材の在留資格の刷新など、海外の高度人材誘致へ向けて制度拡充を明言している。だが、現時点で政府が外国人の高度人材が日本に来たがる理由や、こうした人たちが移住・仕事をするうえでどんな障壁があるか、また、何をすればもっと日本へ来てくるかを把握しているとは言えないだろう。
今回話を聞いたAさんBさんが抱えている希望と葛藤の話が、今後の日本の高度人材誘致戦略の推進や、日本国内における「外国人に対する意識」の改革に役立てれば幸いだ。
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