芸人とラッパーが「選挙」で見た"政治家の裏の顔" 「劇場版センキョナンデス」が映す政治の世界

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大島:鹿島さんが、もっとデジタル的な対応をしてもらえないですかと聞くところ。あそこと、さっきの松川さんの「ユーチューバーのみなさん、ありがとう」。この2つは試写で爆笑でした。

――映画、後半の参院選(2022年)の話もお聞かせください。立憲民主党の辻元清美さんとのやりとりが印象的でした。

ダースレイダー:僕らは大阪の京橋駅付近にいて、もともと菅直人さんが目当てだったんですよね。そうしたら辻元さんが、もうあちこち走り回っているんですよ。

プチ鹿島:チラシの配り方とか、キビキビしていて。

ダースレイダー:何者かわからない僕らに向かって「あんたら昭和のおっさんやろう」ってツッコミを入れながら、人が目にとまるとチラシを配りに駆けだす。パワーがすごい。それで菅さんがこのあと京都に向かい、辻元さんは道頓堀に行くとなったとき、どっちにしようかと。

プチ鹿島:もともとは、菅直人さんが「闘うリベラル宣言」といって維新に喧嘩を売っていたときで、今回の選挙を観に行くならこれは菅さんが維新とバチバチやっている大阪だろう。

で、序盤の3日間は菅さんに密着。途中から辻元さんが面白くて追いかける感じになっていったんですよね。結果、7月8日(安倍元首相が銃撃された日)も、たまたま泊まっているホテルが大阪駅に近かったので、あの場に間に合ったんですよね。

SNSでマウントを取る人たち

――あの日、党としては選挙活動を取りやめると決めたなか、辻元さんは迷った末に大阪駅前に立たれ、メディアのブラ下がりを受けていました。その背後からスタッフがスマートフォンを差し出すんですよね。それを見て、彼女が絶句する。

安倍元首相襲撃時の1日(​©「劇場版 センキョナンデス」製作委員会)

大島:その前に、安倍さんと親しいとされている人たちが、いち早くSNSで亡くなったというのを発信していた。悼むというよりも、マウントを取るようでいやな思いがしました。

プチ鹿島:我先に俺近しいんだぜ、という。人が見える瞬間ですよね。

ダースレイダー:あのとき、秘書の方が何をスマホで見せたのかはわからなかったんですけど、辻元さんが絶句することで、僕らも知るわけです。あの絶句から、それまで「安倍さんにはよくなってほしい」と言っていたのが本心だというのもわかる。

大島:僕も、素材を見たときにそう思いました。

ダースレイダー:あの日、何が起きていたのか。安倍さんは好きだけれど、辻元さんは嫌いだという人ほど、これは見てほしいと思いますね。

朝山 実 インタビューライター

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あさやま じつ / Jitsu Asayama

1956年生まれ。著書に『お弔いの現場人 ルポ葬儀とその周辺を見にいく』(中央公論新社)。ほかに『イッセー尾形の人生コーチング』『父の戒名をつけてみました』『アフター・ザ・レッド 連合赤軍 兵士たちの40年』など。

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