日本銀行の若田部昌澄副総裁は2日、物価安定目標を曖昧にすることは「金融政策が追求すべき目標を曖昧にしてしまい、金融政策の透明性、さらには政策効果を損ないかねないという危険性がある」との認識を示した。静岡県金融経済懇談会で講演した。
若田部氏は低金利政策を継続した結果、景気後退や金融危機が生じた場合の対応余力が乏しくなるという「のりしろ論」について、余力を作るために「利上げを行い、経済を悪化させてしまうのは本末転倒だ」と指摘。政策余地を作りたければ、金融緩和で経済成長と予想物価上昇率を引き上げ、名目金利の上昇で生み出すことが適当だと語った。
日銀が2013年4月に黒田東彦総裁の下で大規模な金融緩和に踏み出したことで、経済成長が復活し、雇用が増えたと主張。物価についても「継続的に物価が下落するという意味でのデフレではない状況に達した」と述べ、大規模緩和がなければ「経済成長は低迷し、物価もデフレ的な状態が続いていた」との推計を紹介した。
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