ちなみに、拘置所の存在はなかなか大きなもので、かつてはヘルメットをかぶった過激派の集団が駅から降りて拘置所に向かう、などというようなこともあったとか。さすがにいまはそんなご時世ではなく、広場もない高架下の駅前は静まりかえっていた。
小菅駅からお隣の五反野駅までに、スカイツリーラインは大きく西にカーブする。そのカーブの付け根で交差しているのが常磐線だ。この交差地点というと、1949年に国鉄初代総裁・下山定則が轢死体として発見された“下山事件”の舞台。発見されたのは国鉄常磐線の線路だったが、事件直前には東武を使って五反野駅に降り立っていたという。それから半世紀以上が経って、当時の面影はもちろん消え失せている。
気まぐれに五反野駅までの線路沿い(というか高架沿い)を歩く。その道すがらは、なぜか緑地化されていて、ちょっとした憩いの場に仕立てようとしているのだろう。が、両サイドに住宅がひしめく高架の脇は、ちょっぴり薄暗い。
活気にあふれた駅前風景
純然たる住宅地の中から、少し商店などが見えてきたと思ったところで五反野駅だ。高架の駅の下には両サイドが商店街になっているにぎやかな道が通る。チェーン店から昭和の色が濃厚な個人店までがズラリと並ぶ、実に活気にあふれた駅前風景である。
「五反野駅もそうですし、そのお隣の梅島駅も同じような下町の町並みですね。駅周辺やそこから少し離れたところにも商店街があって。そうした商店街がいまでもにぎやかで活気があって、という町なんです。住んでいる方は、昔からの方もいらっしゃいますが、最近入ってきた方も多い印象ですよ。住宅地の中にも建て替わって新しくなっているところもありますし、老若男女、ほんとうにたくさんの方がお住まいのエリアです」(神崎さん)
神崎さんの言葉はまさにその通り。駅の周りはたくさんの人が行きかっていて、それが駅から少し離れても、にぎやかさはあまり変わらない。下町らしい、活気に満ちた駅前だ。
五反野駅や梅島駅は、生活感の漂う下町の小駅だ。小駅といっても3万人の乗降人員がいるのだからなかなかたいしたもので、東京の恐ろしさともいえるかもしれない。そしてこの区間、東武スカイツリーラインは私鉄日本一のロングラン複々線区間にあたる。
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