湯船で揚がるコロッケの大反響、仕掛け人の告白 無名からSNS発デザイナー、バズった裏側を語る
9時に仕事が始まってからも、一向に通知が止まらない。机の上に置いたiPhoneを、数十秒おきにチェック。手汗がじんわりとにじみ、心臓はドキドキする。こんな気持ちになったのは、大学生の頃、初めて大勢のお客さんを前に漫才をやった時以来だった。今、確実に舞台に立ち、そしてジャッジされているという感覚。嬉しくもあり、どこか怖さも感じるほどの反応の多さだった。
東京都知事と湯船のコロッケ
その後もiPhoneのバッテリーの消耗が気になるほど、ツイートへの反応は加速。気がついたら10万いいねを超えていた。
「もしかしたら……」と思い、Yahoo!ニュースを開いてみる。
「ウィズコロナ宣言」のフリップを掲げる小池都知事の画像と記事の下に、コロッケ型の固形入浴剤ケースが並んで表示されていた。これには、さすがに笑ってしまった。
と同時に、「10万いいねを超えると、(トップページではないにしても)Yahoo!ニュースに表示されるんだな」と、どこか他人事のように眺めている自分がいた。
それから3件、ウェブ記事で取り上げたいという取材依頼がきた。
しかしそのうちの1件に、作品がデジタルコラージュによる合成画像だと伝えたところ、「実在しないものは記事として取り上げられない」と断られてしまった。
「実際に存在するとかしないじゃなくて、みんながアイデアを面白がっているのだから、そこは問題ではないのでは?」
「実は合成でした! っていう記事のオチもつくじゃん」
と思ったが、同時に「記者を騙せるほど、うまく合成できていたんだな」とも思い、自信を持つことができた。
Yahoo!ニュースに掲載されたあたりから、子どもが間違えて口に入れたら危ない、いらないなどの否定的な内容のリプライ、引用リツイートも目につくようになった。だけど私は元々、実用的なものを作りたいとは思っていないので、痛くも痒くもなかった。
とはいえ、嬉しい反応のほうが遥かにたくさんあった。ほしい! 天才! どこで手に入るんですか? という趣旨のもの。
とある引用リツイートでは、ニッチなコンセプトなのに、惹かれるという内容のコメントがあった。それまで、私のニッチな作品のコンセプトが自分以外にも伝わるのだろうか、とも思っていたので、ちゃんとコンセプトに魅力を感じてくれた人もいるのだなと嬉しくなった。
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