EVシフトが進む中で、中国の自動車輸出は右肩上がりだ。輸出台数は2021年に200万台を突破し、2022年は311万1000台だった。うち新エネルギー車は前年から倍以上増え67万9000台に達する。
BYDも昨年以降、海外展開を加速している。欧州市場では2021年にノルウェーに進出したのに続き、2022年秋以降、日本にも投入した「ATTO 3」を含む複数車種をドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマーク、イギリス、フランスで発売すると発表している。
昨年10月上旬にはドイツのレンタカー市場で4割のシェアを占める最大手シクスト(Sixt)と、EVの供給で連携した。シクストは昨年12月までにBYDから数千台の「ATTO 3」を調達し、2028年までにさらに10万台のEVを購入する計画だ。
さらに中南米にも輸出を始め、ブラジルではEV工場の建設も検討する。オーストラリアとシンガポールでも昨年、「ATTO 3」を発売した。
新興国ではタイ、ネパール、モンゴル、ラオス、インド、コロンビアでも「ATTO3」を順次投入している。
こうして見ていくと、BYDは新興国と欧州に照準を据えていることがわかる。では、ガソリン車が圧倒的なシェアを占める日本市場に何を求めているのか。
日本進出「何台売れるかは重要ではない」の声
中国の家電やスマホメーカーが日本に進出する際の決まり文句として「世界一消費者が厳しい日本で成功したらどの国でも成功する」というものがある。EVも例外ではないであろう。さらに中国のメディアは、BYDの乗用車の日本進出を「何台売れるかはそれほど重要ではない」と捉える。
BYDジャパンは昨年7月の記者発表会で2023年に日本で3車種を投入し、2025年に100店舗以上を展開する目標を示した。中国では同年の販売目標は2万台と報じられている。
中国メディアは「100店舗体制の場合、1店舗あたり2日に1台売れば年間販売2万台を達成できるが、それでは採算が合わない」ことから、BYDが短期にはシェアや黒字化を追っていないと結論づけている。
新車販売の約3割をEVが占め、新興メーカーが台頭する中国から見て、日本は「日本の既存メーカーが90%以上のシェアを占め、あのフォードも2016年に撤退した輸入車禁断の地」「EVの販売台数は中国の200分の1以下で、利用者が少ないためEVの充電設備も減少しているEV不毛地帯」「人口減や若者の車離れで長期的に下降トレンド」(いずれも現地報道)の市場だ。
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