災害時に見るCSRのあり方《1/2》--初動の最大の被災地支援は義援金
義援金は当座の最大の貢献
企業からの義援金拠出もしっかり根付いた感がある。今回の各社の対応内容を見ると、義援金とその他の支援策を区分して発表する企業が多数を占めた。これは企業側がそれだけ義援金の大切さに気づいているからにほかならない。
寄付風土がない日本では義援金を集めるのは難しいという説もあるが、筆者はそうは思わない。日本には古くから「よい行いは人には言わない」という陰徳の美があったために大っぴらに言わなかっただけのことである。時代は変わり、今のCSRの考え方は、よいことはどんどん言ったほうがよい、逆に言わないとやっていないと見なされる、というものである。
義援金の多寡は企業の考え方もあって一概に論ずるべきものではない。ただ、今回のファーストリテイリングの動向は傑出している。同社は、義援金をグループで4億円、ヒートテック30万点など同社の商品7億円相当を寄付している。これだけでも上場企業の中でトップクラスの社会貢献だが、さらに会長兼社長の柳井正氏が個人で10億円の寄付を申し出ている。14日に対外的な発表をしているので、今回急に決めた内容ではないだろう。
普段からトップが率先してCSR活動に力を入れていたからこそできる支援内容だと考える。義援金の額の大きさにだけ注目が行くが、所有と経営を分離して、企業・オーナー双方から支援を行うという考え方は、今後のオーナー経営の1つのモデルケースとなるのではないか。
被災地はまだ物流が復活しておらず、幹線道路もまだ復旧していない。せっかくのボランティアも多くは被災地の前で足止めを食っている状況であろう。その中ではやはり義援金は初動として最も大切な被災地支援策である。
株式会社クレイグ・コンサルティング(http://www.craig.co.jp/)
写真撮影:梅谷秀司
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