櫻井翔「大病院占拠」良い意味で期待を裏切った訳 シリアスなドラマと思っていたらどうやら違った

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「SHOWチャンネル×大病院占拠 合体SP」と掲げて、冒頭から主なあらすじをナレーションで伝えたほか、スタジオに4人の出演俳優をそろえ、「潜入!ドラマ『大病院占拠』達人ツアー」という企画を放送し、Snow Manの2人が主題歌を務めることをサプライズで発表。最後にドラマ出演者たちがリレー形式であらすじを読み上げ、CMをはさまずにドラマ本編がはじまりました。

もともと「SHOWチャンネル」は櫻井さんがMCを務めるバラエティであり、「大病院占拠」の主演に櫻井さんを起用することで、「2時間連続で櫻井翔の番組」となります。つまり、「“バラエティMCの櫻井翔”を見た直後に“主演俳優の櫻井翔”を見る」ことになり、「視聴者の切り替えが難しい」「『ジャニーズ事務所に頼りすぎ』と批判されやすい」などの理由から、他局も驚く思い切った編成でした。

日本テレビはそんなリスクを承知のうえで「合体SP」という最大級の番宣をしました。その結果として、「大病院占拠」はハラハラドキドキのシリアスより、バラエティからの流れで楽しく見るタイプのドラマという印象が強くなっているところがありそうです。

「絶対に失敗できない」日テレの戦い

これは見方を変えると、「日本テレビは絶対に失敗できない編成・番宣をした」ということ。

櫻井さんはここ3作連続で日本テレビの連ドラ主演を務めていますが、「先に生まれただけの僕」「ネメシス」は、同局が思うような結果や反響は得られませんでした。さらに「ネメシス」は3月31日公開の映画も控えているだけに、その前に同じ櫻井さんの「大病院占拠」が失敗するわけにはいきません。

あえてコロナ禍の今、医療現場が苦しむ様子を映す病院占拠をテーマにしたことも含め、「大病院占拠」は日本テレビの意気込みが随所にうかがえる作品です。視聴率、配信再生数、ネット上の反響。そのすべてを得るために最後までさまざまな番宣を仕掛けていくでしょう。

では今後、「大病院占拠」がハラハラドキドキのシリアスな作品になる可能性はあるのか。たとえば、「鬼滅の刃」と同じように、もし鬼たちの背景に視聴者が共感できるような悲しい人間ドラマがあったら、SNSに書き込まれるのはツッコミではなく、称賛の言葉に変わるかもしれません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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