日本人50歳女性「27%が生涯子供いない」の示す事 未婚、貧困、子育て難、不安、価値観の多様化
「子育てが大変すぎる」のも、深刻な問題だ。まずは金銭面。住友生命のホームページによれば、幼稚園から高校までの教育費の平均は、すべて公立校で262万円(塾を除く)、すべて私立の場合で1235万円(同)になるそうだ。大学に進めば、国公立(文系)の284万円(実家から通学)~私立(理系)は1648万円(同)に達する。これが実家暮らしでなく1人暮らしなら668万~2032万円(同)もかかる。
単純に教育費が高いということもあるが、実は保育園や幼稚園、小中高と進学していく段階で、学校への送迎やPTA活動など、目には見えない形での負担が多いことも忘れてはならない。なぜ、教育費にこんなにお金と手間がかかってしまうのか……。50年前と比較した時に考えられるのが、政府による規制の乱発だ。
何か事故があるたびに「規制をしなかった政府が悪い」というマスコミの批判に対して、政府が慌てて、付け焼き刃的に制度を作り続けた結果であり、最初から子育てに対するポリシーが欠如した状態で教育行政を続けた結果といっていいだろう。それが何十年もずっと続いているのが現状だ。日本には地域で支え合うなど、安心して子供を産んで、育てる社会を作っていく必要がある。
企業も努力が必要だ。最近、伊藤忠商事が朝型勤務の導入による働き方改革によって、合計特殊出生率を1.97に伸ばしたことが評価されているが、長い目で見れば社員が子供をたくさん産むことが、その企業の成長にもつながっていく。
結婚制度そのものが限界に来ている?
ほかにも女性たちが子供を積極的に産まない、産みにくい理由はある。
ニューズウィーク日本版が2017年7月13日に配信した記事「婚外子が増えれば日本の少子化問題は解決する?」によれば、日本の婚外子は2.3%(OECD、2014年、最新値では2.4%、2020年)しかなく、1.9%(同、最新値は3.0%、2021年)の韓国と並んでOECD中、最下位水準になっている。
生涯子どもを持たない人の問題は欧州諸国でも一時は深刻な問題ととらえられていた。欧州の多くの国も合計特殊出生数が、人口減少につながる2.1を大きく下回っていたのだが、1980年に入ってから欧州諸国の多くは「第2の人口転換」と呼ばれる人口動態変化が起きて、合計特殊出生数が2.1のラインに近づいている。
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