日銀が大規模な金融緩和策の現状維持を決定 コアCPIの見通しは22年度3.0%へと上方修正

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SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、適用金利がゼロ%だけだったのが、10年まで年限によって柔軟に金利を変えられるようにして、イールドカーブの形成を促す意図だろうと指摘。国債買い入れによる需給ひっ迫をできるだけ回避するための、市場機能改善のための一手だろうとの見方を示した。

「貸し出し増加を支援するための資金供給」の貸し付け実行期限の1年間延長と、「気候変動対応オペ」の対象先を拡大して系統会員金融機関を新たに含めることも決めた。

物価見通しは23年度は不変、24年度は上方修

新たに公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)によると、24年度のコアCPI予想は前年度比1.8%と、前回10月の1.6%から上方修正された。見通しは「上振れリスクの方が大きい」とした。23年度は1.6%で変わらず。実質国内総生産(GDP)見通しは各年度とも下方修正された。

(注)単位は%。コアコアCPIは「除く生鮮食品・エネルギー」

政策運営方針

  • 日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用
  • 長期金利がゼロ%程度で推移するよう上限を設けず必要な額の長期国債を買い入れ
  • 明らかに応札が見込まれない場合を除き、長期金利について0.5%の利回りで指し値オペを毎営業日実施
  • 金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、各年限で機動的に買い入れ額のさらなる増額や指し値オペを実施
  • ETFとJ-REITはそれぞれ年間約12兆円、約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じ買い入れ
  • CPや社債などは感染症拡大前と同程度のペースで買い入れ、買い入れ残高を感染症拡大前の水準(CP等:約2兆円、社債等:約3兆円)へと徐々に戻す。ただし、社債などの買い入れ残高の調整は社債の発行環境に十分配慮して進める

--取材協力:、.

(詳細と市場関係者のコメントを追加して更新しました)

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著者:伊藤純夫

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