日本銀行は18日の金融政策決定会合で、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策を軸とした大規模な金融緩和策の現状維持を決めた。共通担保資金供給オペを拡充する。新たな消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の前年度比の上昇率見通しは、2022年度が3.0%と従来の2.9%から上方修正された。
短期金利にマイナス0.1%を適用し、長期金利(10年物国債金利)はゼロ%程度を誘導水準とする方針を維持した。長期金利の許容変動幅も上下0.5%に据え置いた。
ブルームバーグが6-11日に行ったエコノミスト調査では、ほぼ全員が今回会合での現状維持を予想。昨年12月の政策修正の理由に挙げた市場機能の低下にその後も改善は見られず、市場では長期金利の変動幅の再拡大やYCC政策の廃止など追加策を巡りさまざまな観測が浮上していた。
日銀の決定を受けて債券市場で長期金利が一時0.395%に急低下した。会合前には許容上限の0.5%を超える取引が発生していた。為替市場では円が売られ、一時1ドル=131円台まで円安が進んだ。発表前には128円台半ばで推移していた。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、「この決定を受けてイールドカーブのゆがみが修正されずに残れば、マーケットの利上げバイアスが継続することになる」と指摘。企業の決算期に当たる3月での政策変更をせずに、「現在の政策を維持して次期総裁での体制にバトンタッチという可能性が高まった」と語った。
市場機能改善の一手
日銀は金融調節の円滑化を図るため、国債などを担保に金融機関に低利で資金を貸し出す「共通担保資金供給オペ」を拡充した。固定金利方式の適用利率について、従来の年ゼロ%から年限ごとの国債の市場実勢相場を踏まえて、貸し付けのつど決定する。