防衛力増強には結局「消費税増税」しか道はない 国民が求める「歳出削減」は焼け石に水
日本の国債残高は1029兆円(2022年末)で、地方債なども合わせた国の借金はGDPの2.6倍に達し、主要国で最も高い水準です。IMFなど国際機関・アメリカ系格付け会社・海外投資家などが日本の財政の持続性に懸念を表明している通り、安定性が課題です。
海外からの懸念に対し、「日本国内で国債を消化できているのだから、外国人が何を言おうと関係ない」という反論をよく耳にします。しかし、この反論は日本国債の置かれた厳しい現実から目を背けているのではないでしょうか。
今でも、低金利で魅力に欠ける日本国債の買い手の主体は日銀という状態です。今後、高齢化で高齢者が預金を取り崩すようになったら、外国人投資家に買ってもらう必要が出てきます。今日本国内で消化できているから将来も大丈夫だと考えるのは、楽観的すぎます。
もちろん、他の財源がどうしても見つからない場合の最終手段や一時的に財源が不足する場合の緊急措置として、国債発行は必要です。したがって、「国債発行はまかりならん」ということではありませんが、主たる財源に据えるのは不適切です。
消費税の増税がベスト
歳出削減も国債発行も財源として不適切となると、3つ目の増税がクローズアップされます。税収規模が大きい法人税や消費税の増税が候補になりますが、どちらが適切でしょうか。
岸田首相が決めた法人税の増税には、大きな問題があります。①法人税は税収が景気などに左右される、②日本の法人税率は国際的に見て高水準で、増税は企業の競争力に悪影響を与え、企業の海外移転を加速させる。
また、日本では赤字法人の割合が65.4%(国税庁、2019年度)に上ります。少子化対策も防衛力増強も国民全体に関わることなので、法人税を支払っている一部の優良法人に負担させるのは、課税の公平性という点でも疑問です。
その点、消費税は、税収が景気に左右されにくく、税率も国際的に見て低く、国民に広く薄く負担を求めるという点で、安定財源として合理的です。増税するなら、法人税よりも消費税です。
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