環境問題のカギを握る?欧州の「貨物列車連結器」 所要時間短縮でトラックからシェアを奪えるか

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走行区間を問わない機関車、「デュアルモード」や「ラストマイル」も、貨物輸送における1つのキーワードになっている。前者は電気機関車にエンジンを搭載し、電化・非電化を問わずどこへも直通運転できる車両のことで、後者はヤードにおける仕分け作業など、短時間だけ使用するための小型エンジンを搭載した車両のことだ。

現在、メーカー各社から発売されている汎用電気機関車の大半は、ラストマイルエンジンを搭載できるオプションが設定されている。一方のデュアルモードについては、スイスのシュタドラー製「ユーロデュアル」が市場を切り開き、シーメンス製の「ヴェクトロン・デュアルモード」がそれに続く形となっている。

トラック輸送のシェアを奪えるか

シュタドラー・ユーロデュアルの標準的な仕様は、ヨーロッパの4つの電圧すべてに対応し、電化区間で6150kW(交流1万5000V区間)、ディーゼルエンジンで2800kWの定格出力を誇るなど、まさに万能と呼ぶにふさわしい性能を持ち、車体長23m、重量は123tに達するため、主に本線の重量貨物列車の牽引に主眼を置いている。車両そのものは、シュタドラーが買収する以前のフォスロー社が開発したものを引き継いでおり、2018年のイノトランスにも展示されていたが、今年は新たに最高出力9000kW、ラストマイルエンジン1900kWというより強力な仕様が発表され、記者会見も行われた。

同じくデュアルモード仕様を市場に投入したシーメンスのヴェクトロンは、電気運転については交流1万5000V仕様のみで出力は2400kW、ディーゼルエンジンは2000kWとパワー的には控えめとなっている反面、車体の大きさはほかの機関車と同等の車体長20m以内、重量90tに収まっている。

両社とも販売は堅調のようで、いずれもドイツ鉄道など大口の顧客からも注文が入っており、今後のスタンダードとなる可能性がある。環境問題という強力な後押しがありながら、今一歩自動車輸送からシェアを奪えずにいた鉄道貨物。2030年に定めた目標へ向け、これらの技術は今度こそ自動車業界からシェアを奪う決定打となるのか、注目される。

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橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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