環境問題のカギを握る?欧州の「貨物列車連結器」 所要時間短縮でトラックからシェアを奪えるか

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列車の連結・解放に要する手間と時間の対策としては、連結器を自動で切り離す解放梃(てこ)など、これまでいろいろな方法が考案されてきたが、どれも決定打とはならなかった。結局、解決法としては「自動連結器」への換装が最適解であると結論付けられた。

自動連結器そのものは100年以上前から存在し、日本をはじめヨーロッパ以外の多くの国で採用されているため技術としては今さらの感もあるが、ヨーロッパで導入される予定のDACは、各連結器の解放作業もコンピューターとセンサー技術を用いて自動化を図るというものである。

欧州全体での交換は膨大な手間が

とはいえ、すべての貨車と機関車のバッファー・リンク式連結器をDACへ交換するにはかなりの準備と労力が必要になる。そもそも、ヨーロッパで自動連結器へ換装するタイミングを逸した1つの理由は、19世紀後半から20世紀初頭の段階ですでに数万kmに及ぶ路線網が各国に形成され、車両の数も膨大だったからで、その当時の各国鉄道会社の企業体力を考えれば、この段階ですべての連結器を交換することは困難な状況であった。

さらに、地続きのヨーロッパでは関係するすべての国で互換性が必要となるため、換装は1カ国のみで完結せず、ヨーロッパ全体の問題となる。その全ての貨車の連結器を換装するために、どれだけの手間と時間を要するかは想像にかたくないだろう。

旧型連結器と新型連結器DAC
バッファー・リンク式連結器の貨車(左)とDACを装備した貨車(撮影:橋爪智之)

ヨーロッパ23カ国の貨物輸送会社が加盟するRail Freight Forward(レイル・フレート・フォワード、RFF)は、ヨーロッパにおけるモーダルシフト達成率を現在の18%から2030年までに30%へ引き上げる目標を立てている。

そのために必要な要素としてERTMS/ETCSといった信号装置の開発やインフラの整備、各国へ直通できる汎用型機関車の開発が進められてきたが、最後の砦が連結器の問題であった。DACは、その問題を解決する最終手段として注目を集めている。

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