環境問題のカギを握る?欧州の「貨物列車連結器」 所要時間短縮でトラックからシェアを奪えるか
ヨーロッパの物流において、鉄道は欠かせない存在だ。環境問題が声高に叫ばれるようになった昨今、貨物輸送を鉄道へシフトさせていくことは重要な課題として毎年のように話題にのぼる。だが、まだトラックに依存している部分は多く、モーダルシフト達成率はヨーロッパ全体でわずか18%にとどまっている。
理由の1つとして、まず所要時間の面で不利な点がある。ヨーロッパの貨物列車はだいたい時速80~120kmで走行しており、高速道路で時速80~90km程度のトラックに対しては劣っているどころか、むしろ速いくらいだ。それにもかかわらず、所要時間で後れを取る理由として、荷物の積み替えというワンクッションが必ず必要になる点が挙げられる。点と点を直接結ぶことができるトラックは途中で荷物の積み替えが不要で、この点で鉄道に対して圧倒的に有利な立場にあると言える。
改善策は「連結器」
また、面状に都市が広がるヨーロッパでは、途中駅で行き先別に貨車をつなぎ変える「ヤード仕分け」を今も行っており、これが時間のロスにつながっている部分でもある。貨車の行き先は数十両分の荷物が毎日のように輸送される大都市ばかりではないため、途中まで別の行き先の列車にぶら下がり、分岐駅で別の方面から来た列車につないで目的地を目指すという形も多いのだ。
鉄道がトラック輸送に対してアドバンテージがあるのは、環境問題とトラックのドライバー不足問題だ。常に排ガスを出しながら走るトラックに対し、電化区間なら車両からの排ガスはゼロで、ディーゼル機関車を使用する非電化区間においてもトラック数十台分を機関車1~2両で効率よく輸送できるため、圧倒的に環境には優しい。
ドライバーの確保という面においても、台数分のドライバーを確保しなければならないトラックに対し、運転士1人でトラック数十台分の荷物を運べる鉄道は効率の面でも非常に優れている。
このような利点があるにもかかわらずトラックの後塵を拝している現状において、貨物輸送で鉄道が優位に立つためにできる改善点にはどういったことがあるのだろうか。2022年秋にドイツ・ベルリンで開かれたイノトランス(国際鉄道技術見本市)の会場に、その答えの一部を見ることができた。その1つが「連結器」だ。
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