ルキノはせいぜい1.6リッターにとどめ、スカイラインは2.5リッターメインの3ナンバーボディにして、S14シルビアは、2リッターメインの5ナンバーで、かつ走りのクーペとしたらどうだったろう。
日産もデザインの“失敗”に気づいて、1995年のマイナーチェンジで、フロントマスクを中心に手を入れ、ヘッドランプを中心にデザインを見直した。
「高性能な“走り”をさらに強調するため、エクステリアをダイナミックでスポーティなデザインに変更」したことを、同年6月1日のプレスリリースで謳っている。
このときのマイナーチェンジで、一部車種のダンパーセッティング変更やブレーキ容量の拡大などを実施。わりと地味。逆にいうと、それまでにやれることはほぼすべてやっていた、となる。走りの面でやることがなかったのだろう。
正統的なスポーツクーペだった
運転すると、楽しい。クルマが本来持っている、素直な操縦性と、パワーを自分でコントロールして走れるような感覚が、おおいなる魅力だった。まったく不満はなかった。
S13、このS14、そして最後のシルビアとなるS15と、連綿と続いたモデルチェンジ。
2リッター4気筒ユニットをもつ後輪駆動クーペというテーマはブレず、少しずつパワーアップし、それに合わせて足まわりなどに手を入れられた。正統的なスポーツクーペのありかたではないか。
シルビアが生産終了したのは2002年。「平成12年排出ガス規制」が実施され、排ガス中のNOx(窒素酸化物)、CO、HC(炭化水素)の量を“うんと”減らすことが義務づけられた。
そのタイミングで、割に合わないということか、自動車ファンに人気があったスポーツ車がどっと姿を消すことになった。シルビアも残念ながら、そこに入っていた。
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