「女王陛下の新路線」が変えるロンドンの商業地図 半年で7000万人利用、都心デパートに誘客効果

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新線開業効果で喜んでいるのは都心のデパートや小売店だ。ロンドンきっての繁華街オックスフォード・ストリートなどの商店からなる同業団体、ニュー・ウエストエンド・カンパニーのディー・コルシ最高経営責任者(CEO)は、「エリザベス線の開通は、この地域のコロナ禍の回復を後押ししている」と語り、2022年のクリスマスまでの間にウエストエンドの小売業全体で15億5000万ポンド(約2429億円)の消費が見込まれると予想する。

一時は郊外のショッピングモール止まりだった人の流れが、新線開通で都心に戻ってきた。エリザベス線は間違いなくコロナ禍後のリテール業への後押しになるだろう。

Farringdon Station Elizabeth line
市内中心部にあるファリンドン駅(筆者撮影)

空港アクセスも改善したが…

エリザベス線はヒースロー空港への接続改善にも寄与している。これまで同空港への軌道交通は、市内中心とを結ぶ地下鉄ピカデリーラインと、ナショナルレールのパディントン駅を発着する「空港特急」に相当するヒースロー・エクスプレス、各駅停車タイプのヒースロー・コネクトが運行されていた。

ところがエリザベス線の開通により、ヒースロー・コネクトは同線経由で市内からの列車が延長する運行パターンを設定し、ブランド名も変更。市内各駅から直通でヒースローへと出入りできるようになった。

Elizabeth Line Train for Heathrow
ヒースロー空港ターミナル2・3行きと表示したエリザベス線の電車(筆者撮影)

ただ、ガイドブックやウェブサイトの書き換えがコロナ禍のあおりで追いついておらず、日本を含む各国からの外国人観光客はせっかくの新線利用を知らずに従来ルートで街に出ようとするケースも多いのが残念だ。

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