採用面接で聞きづらい質問を聞くテクニック 「健康状態」や「家庭環境」は聞き方次第でOK

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聞くことには合理的な理由が必要(写真:すとらいぷ/PIXTA)
採用面接の際、ハラスメントや人権侵害にあたる行為だと誤解されることを恐れて、なかなか踏み込んだことが聞けない……という人事担当者の声が多く聞かれます。そこで、本稿では『採用がうまくいく会社がやっていること』より一部を抜粋・編集のうえ、「健康状態」「家庭環境」「自認性格」といった聞きづらい質問を聞くテクニックについて解説します。

聞きづらい質問を聞くテクニック

個人情報保護法(平成17年4月施行)ができたあたりから、面接のときに、以前よりもいろいろ「聞いてはいけない」という風潮が強くなりました。

実は、以前は、応募者の前職場に「御社を退職した人が、当社に履歴書を送ってきましたが、どういう人でしたか」と聞くことが、ごく普通に行われていました。面接時に応募者に聞くことも、裁判の判決(三菱樹脂事件 昭和48年12月12 日)趣旨により、基本的な考え方として、「契約自由の原則を理由に、会社がいかなる理由で雇おうが、そのためにいかなる調査をしようが、違法とすべき理由はない」としています。

ただし、違法とまでは言えなくとも、現在は行政の指導等により、仕事とは関係のない内容について聞くことが制限されています。そのため会社は「どこまで聞いてもよいか」ということに対し過剰に怯えているようです。ただ、その弊害で、本来聞かなければならないことさえ聞いていません。

結論から言えば、「聞くこと」に合理的な理由があれば、違法とまでは言えません。必要なことを聞かずして「ミスマッチ」が起こっても誰も責任は取ってくれません。採用は会社の責任で行うものです。ただし、聞き方が悪いと口コミなどで会社の評判が悪くなる可能性もありますから、十分に配慮をしなければならないのも事実です。

そこで必要なのが、「我々(会社)があなた(応募者)に配慮するには、この質問と、その答えが必要です」という説明と態度です。聞く意味を真摯に伝えると、案外、快く答えてもらえるものです。

聞きづらいことを聞くには、「言葉づかい」「態度」「真摯さ」の3つが必要です。そして、それらを満たしたうえで、聞きづらいことを、相手を嫌な気持ちにさせず聞き出すには、次の2つのテクニックが必要です。

●一方的に聞かず、自ら(会社側から)開示すること。

聞きにくい情報を聞くには、聞く側(面接官)から先に自己開示します。そうすると応募者側も心を開き、答えやすくなります。

●それを話しておかないことが、自分(応募者)にとって損だと思わせること。

人間誰しも、損をするのが嫌いです。話さないことが自分にとって損だと思えると、応募者側から気持ちよく話してくれます。

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