サウジアラビアがシェア奪還へ価格攻勢

3月も過去最高に近い水準まで生産を拡大

ロス氏によると、悪天候でイラクの出荷が2月に減少したことも、サウジの供給拡大を後押ししたという。

同氏は「サウジは需要がさらに高まれば、供給を増やす用意があると表明している。ここ数カ月間に需要が高まったため、増産して市場に供給した」と指摘。「同国は現在の生産量を心地よい水準とみなし、市場シェアを取り戻すことに満足していると思う。生産が(日量)1000万バレルを大幅に上回る可能性は低い」との見方を示した。

優れた競争力

ヌアイミ石油相は、昨年11月のOPEC総会での生産枠据え置き決定は、サウジの主要市場でのシェアが縮小していることが主な理由だと繰り返し述べてきた。

OPECが減産を見送ったことで原油価格は急落。昨年6月の1バレル=115ドルから、1月には50ドルを下回る水準に落ち込んだ。

サウジはこの展開が米国のシェールオイル探査企業などコストの高いプレーヤーの生産削減につながり、サウジのような低コスト産油国の市場シェアが回復することに期待を寄せている。

サウジ、ロシア、カザフから原油を大量に購入する石油メジャーのトレーダーは「2月以降サウジは欧州で、しばらくぶりに供給量を増やしており、(悪天候で打撃を受けている)ロシア、カザフ産原油の供給にさらなる圧力をかけている」という。

コンサルティング会社エナジー・アスペクトのアムリタ・セン氏も「基本的にサウジの販売価格は非常に競争力があり、需要は強い」と指摘する。

トムソン・ロイターの石油調査・予測部門のデータによると、サウジ産原油の米国への輸出量は、米国向けの値下げを背景に2月に3000万バレルとなり、中国向けを上回った。

セン氏によると、アジアと欧州で製油所の原油処理量や燃料需要が予想以上に増えたこともサウジの原油販売押し上げにつながっているという。

サウジ国営石油会社サウジアラムコのハリド・アルファリ最高経営責任者(CEO)は、中国誌・財新とのインタビューで「中国のエネルギー需要の高まりに伴い、われわれのエネルギー供給量は倍増する可能性がある」と述べた。

サウジは、エアコンの使用で国内の電力需要が高まる夏場に輸出を拡大せずに増産し国内のニーズに対応する傾向があるが、より多くの原油を輸出に振り向けられるよう、ガス生産への投資を拡大している。

((Dmitry Zhdannikov記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子))

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