2023年の鉄道業界、新線開業と「値上げ」ラッシュ 各社が運賃改定、利用者には厳しい年になる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

相鉄・東急新横浜線(相鉄・東急直通線)は2019年開業の相鉄・JR直通線とともに「神奈川東部方面線」として整備が進められてきた路線で、路線の建設と保有を鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)、列車運行など営業を相鉄と東急が担う。

当初は2019年4月の開業を見込んでいたが、用地取得の難航や軟弱地盤への対策などで2022年度下期に延期。相鉄・JR直通線と合わせた建設費も約2739億円から約4022億円まで膨らんだ。開業時期に影響はなかったものの、2021年6月には新横浜駅付近で、2度にわたってトンネルの上部にあたる道路が陥没する事故も発生した。

相鉄・東急直通線 工事中の新横浜駅
工事中の新横浜駅=2021年(撮影:尾形文繁)

東急電鉄の福田誠一社長は新横浜線の開業について、2022年夏の東洋経済によるインタビューで、「東急沿線の方をはじめ、これまで新幹線を利用するために品川に向かっていた方々が新横浜に向かうという新しい流れができるのではないか」と述べ、新路線による新たな需要に期待を示す。

また、首都圏の大手私鉄で唯一東京都内に自社線を持たない相鉄にとっては、相鉄・JR直通線に次ぐ2本目の都心直通ルートの誕生となる。JR直通線の新宿方面行きが現状で日中1時間当たり2~3本なのに対し、新横浜線は東横線方面・目黒線方面行きを1時間当たりそれぞれ2~4本運行予定で、「都心直通」の本命は東急直通だ。同社は新横浜線の開業によって、今後数年で相鉄全線の利用者数が1日当たり約4万人増加すると見込んでいるという。ただ、コロナ禍で鉄道利用が以前より減少する中、見込み通り利用者を獲得できるかが課題だ。

大阪には「新ホーム」、福岡は地下鉄延伸

相鉄・東急新横浜線開業の同日、JR大阪駅では北側の「うめきた」エリアで整備を進めていた新たな地下ホームの使用が始まる。同ホームには関西国際空港アクセス特急「はるか」や和歌山方面とを結ぶ特急「くろしお」が発着するほか、これまで新大阪止まりだったおおさか東線の列車も乗り入れる。新線開業とは異なるが、関西の鉄道ネットワークに影響を与える「新駅」の開業だ。

3月はこのほか、27日に福岡市地下鉄七隈線の天神南―博多間約1.4kmが延伸開業する。同線は福岡市の南西部と中心部を結ぶ地下鉄。これまでの起点だった天神南駅は他線の駅とやや離れており乗り換えに不便さがあったが、博多駅まで直結することで利便性が向上する。同市は博多駅周辺で大規模再開発「博多コネクティッド」を推進しており、延伸開業は周辺開発をさらに加速する材料となる。

同線の延伸は当初2020年度の予定だったが、2016年11月に発生した博多駅前の大規模な道路陥没事故などの影響で、開業予定を延期した経緯がある。相鉄・東急新横浜線同様、2023年3月の開業になったのは「延期」の結果だ。

次ページ利用者には厳しい「値上げラッシュ」
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事