最新「スタッドレス」氷上&雪上で試した超進化 「ブリザックVRX3」公道で体感した走りの安心感

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一方で、スノーでは、タイヤが雪に食い込むことで接地力を上げることが基本であるため、接地面積が大きくなると、かえって滑ってしまう可能性がある。特に日本の場合、アイスとスノーの境となる気温0℃前後になる地域が多いことが、タイヤ開発者にとって悩みの種となる。

海外に目を向けると、北欧やロシアのように極寒地域ではアイス性能を重視でき、またドイツのアウトバーンのように雪が降ってもあまり積もらず、ウェット路面になりやすいケースでは、高速走行時の性能を重視するなど、重点項目が比較的しぼりやすい。

気温や積雪・凍結状況により求められる性能は変わる(筆者撮影)

しかし、日本の環境下では重点項目が多様となるため、それらすべてを高い次元でバランスさせることが難しいのだ。中でもアイスとスノー、それぞれの性能をバランスさせながら双方とも向上させることが難題であり、その解決に向けてタイヤメーカー各社は、独自技術での研究開発を進めている。

クルマの特性がしっかりわかる

今回、旭川の試乗会では、アウディ「Q5」、メルセデスベンツ「GLC」、トヨタ「ハリアー」、トヨタ「ヤリスクロス」の4台のSUVで最新スタッドレスタイヤを試すことができた。4台とも、すべて4輪駆動車である。

今回、試乗したクルマ。手前はハリアー(筆者撮影)

試乗コースは、旭川市内中心部を朝9時に出て、大雪山国立公園内の旭岳温泉ホテルベアモンテを目指し、約45kmを走行するというもの。目的地についたらクルマを乗り換え、旭岳の一般道路を約14km下った地点で折り返してホテルまで戻る。

旭川市内での気温はマイナス2~3℃で、路面の一部はアイス。また、タイヤで削れたような、いわゆる“そろばん路面”も数カ所あった。山間部では、場所によって雪が降っており気温はマイナス7~8℃とさらに下がる。

最新のVRX3を履いた4台を乗り比べると、それぞれのクルマの運動性能がしっかりわかった。中で、もっともバランスがよく走りやすかったのは、17インチタイヤを履くハリアー(タイヤサイズ:225/65R17)だった。ハンドルの切り出しから旋回まで、動きがとても先読みしやすく、クルマの挙動の乱れが少なかったのだ。

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