最新「スタッドレス」氷上&雪上で試した超進化 「ブリザックVRX3」公道で体感した走りの安心感
また、発進時にタイヤが空転することで、鏡のように周囲の景色が映り込むほどツルツルに磨かれてできる「ミラーバーン」が、交差点など市街地を中心に多く発生する問題も出てきていた。
2000年代に「REVO(1/2/GZ)」の世代になると、降雪地域以外でもスタッドレスの普及が進んできたため、ドライ(乾いた路面)やウェット(雨や小雪で濡れた路面)の性能を重視した。むろん、この時期でもアイス(氷上)とスノー(雪上)の性能も段階的に向上させている。
そして、近年の世代である「VRX」では、各種の性能アップに加えて、摩耗を減らす性能や、新品時からの性能低下を抑える“効き持ち”性能を上げることも重視されている。
こうした変遷を経て、今回試乗したのが最新作のSUV向けスタッドレスタイヤ「VRX3」だ。
アイスとスノー、相反する性能の両立
VRX3は、乗用車向けとして2021年に発売され、2022年により大きなボディサイズのSUV向けにタイヤバリエーションを拡張している。その特長は、摩耗ライフが前モデル「VRX2」比で17%向上し、“効き持ち”では、特に新品時から4年後までの性能低下率で大きな差が出ているという。
これは、トレッド部分の発砲ゴムの内部でゴム分子とつなぐために使用しているオイルを、新素材のロングステイブルポリマーに置き換えたことで実現している。タイヤの“やわらかさ”を維持することに成功したのだ。また、アイスの直線路での制動距離も20%向上しており、ブリザック史上最高のアイス性能を誇るという。
こうした、アイス性能を上げることと、スノー性能を上げることは、一般的に二律背反の関係にあると言われている。
アイスでは、氷とタイヤの間に“水の膜”が発生し、その上でタイヤが滑るため、その防止策として除水をするのだが、VRX3ではトレッド部分の発砲ゴムの構造で水路の断面を楕円として、毛細管現象で水を吸い上げている。
さらに、トレッドの形状であるパターンで水を導いてから排水する、という考えがとり入れられた。こうした新技術を最大限に活かすためには、氷の路面とタイヤとの接地面積をより大きくする必要がある。
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