話始め10秒でバレる「話が下手な人」の最大の特徴 「話が長い」「聞いてもらえない」人は冒頭が下手

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もし戸田さんもそのことに敏感で、本題を話すうえでの前提をしっかり伝えておこうという意図でこの導入トークをしているとしたら、さすがだなと思います。

このように、私たちの日常には前提が違えばすべてが違ってしまうことがたくさんあり、例えばあなたが誰かに「もっと頑張って欲しい」と伝えたいとします。このメッセージの前提が「これまでもよく頑張っている」なのか、「正直に言って物足りない」なのかによって、メッセージを受け取る側の解釈は変わってしまいます。

前者は「エール」と受け取るかもしれませんが、後者は「ダメ出し(批判)」と受け取るでしょう。ですからどちらの前提で伝えるのかを、本題に入る前に情報として相手に伝えておかないと、コミュニケーションがうまくいかなくなります。場合によっては真逆の伝わり方になったり、人間関係において致命的な亀裂が生じるきっかけになったりします。

前提:「これまでもよく頑張っている」
メッセージ:「もっと頑張って欲しい」

エールをもらった!
前提:「正直に言って物足りない」
メッセージ:「もっと頑張って欲しい」

ダメ出し(批判)された……

前提を伝えることはいらぬ誤解を生まないため

「頭のいい人」はこのことがよくわかっています。だから話の導入において「この話は〜という前提で展開されるものである」といった定義を行うのです。もしこの「前提を定義せよ」という提案ではイメージが湧きにくいという方がいらっしゃったら、次のような問いを自問自答してもいいでしょう。

説明がうまい人はやっている「数学的」話し方トレーニング 説得力が飛躍的にアップする28問 (PHPビジネス新書)
『説明がうまい人はやっている「数学的」話し方トレーニング 説得力が飛躍的にアップする28問』(PHPビジネス新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

本題に入る前に話しておかないと誤解されてしまう可能性があることはないか?

先ほどの戸田さんの事例を思い出しましょう。戸田さんは別にVIP席で試合を観たことを自慢したかったわけではありません。テレビで観戦していただけなのに、さも競技場にいて隅から隅まで観察していたかのような過剰な(テキトーな)表現や感想を言っているわけではないと伝えたいのではないでしょうか。つまりあのトークは要らぬ誤解を生まないための予防線を張った行為と捉えることもできます。戸田さんの導入話法がクレバーだなと私が感じるのは、このあたりも大きな理由なのです。

ぜひあなたも今日から、自分が話をするときの前提を気にするようにしてみてください。先ほどの【演習問題】の続きとして、次のテーマで練習してみましょう。

【演習問題】
先ほどの【演習問題】で想像した状況において、その相手に伝えたほうがいい「前提」はあるでしょうか。具体的には、本題に入る前に話しておかないと誤解されてしまう可能性があることはないか考えてみてください。
深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事