芸能人より「加工した自分の顔」メイク人気の真相 Z世代にフィルターアプリが与えた大きな影響

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以上、さまざまな「フィルター顔コスメ」商品について紹介した。

かつてアムラーや、聖子ちゃんカットなど、若者の理想とする女性像には一定の統一感があった。しかし、嗜好の多様化によってそれぞれの理想像が細分化し、今では実現可能性が高い「フィルターを付けた自分の顔」を理想とする若者すら出てきたというのが興味深い現象ではないだろうか。今後はさらにその動きが拡大し、コスメブランドとフィルタークリエイターのコラボコスメなども登場しそうな予感もする。

原田の総評:芸能人に似せるよりずっと現実的

最近では美容院や美容整形に、加工・修正した自分の顔写真を持って行き、「こうしてください」とお願いするZ世代も多いそうです。

確かに以前のように「キムタクみたいにしてください」「安室奈美恵さんのようにしてください」などとお願いされても、彼らとはそもそも造形が違う一般人を彼らに近づけるのは美容師さんにとって至難の技だったに違いありません。カットや整形を受けた方も「まったく似てない!」と不満を抱えるケースも多かったかもしれません。

しかしフィルター顔であれば、キムタクや安室奈美恵さんではなく、あくまでベースは自分ですから、それに近づく可能性はこれまでよりも断然高くなります。

化粧品メーカーは今後、Z世代の間でどんなフィルターや加工がはやるか注視しなくてはならないでしょうし、逆にIT企業と組んで新しい加工をはやらせることが新しいメイクを普及させることにつながっていくかもしれません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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