旧統一教会問題第一人者が語る「空白の30年」 なぜ日本で対カルトの法律ができなかったのか
欧米では80年代以降、教義の是非に立ち入ることなく、カルト的な団体が引き起こす現象に焦点を当て、厳正に対処していくための法整備がなされました。その結果、カルト被害は大きく減っています。なぜ、諸外国にできて日本にはできないのか。私は不思議で仕方がありません。
日本には「信教の自由」の限界が論じられてきた歴史がありません。だから、国も憲法学者も、「こういう場合はだめ」という具体的な指標に言及したがらない風潮があります。私にいわせれば、たんなる怠慢です。個人の自由な意思や信教を侵害するカルト宗教を、信教の自由を理由に擁護するのは本末転倒でしょう。
例えば、表現の自由については名誉毀損やプライバシーの侵害という概念が広く浸透しています。国民の多くは、表現の自由にも限界があることを理解しています。一方、信教の自由は、「あり・なし」「許される・許されない」「合法・違法」を分かつラインが曖昧です。限界がどこにあるのか、いまだに判然としません。このような現状が続くかぎり、政治家、官僚、学者らがカルト問題に対していつまでも及び腰となり、カルトの暴走を止めることはかなわないのです。
カルト宗教についての知識があなたの身を守る
私の目的、願いは終始一貫しています。とにもかくにも、カルト被害者を減らし、救済すること。そして究極的には、カルト宗教を根絶させることです。そのためなら、努力は惜しみません。これからも、法律的規制の整備の必要性を国に訴えつつ、情報を提供したり、活動に協力したりしていきます。
それに加え、社会的規制も強化していかねばならないとも考えています。オウム真理教が事件を起こした直後は、カルトに対する社会の目が厳しくなり、一時的にカルト的な団体は息を潜めました。しかし、社会の関心もほどなく薄れていきました。カルトに対する社会的規制を恒常的に敷き続けるためには、多くの人々にカルトの実態を把握していただくことが必要です。これが被害者をなくすための、まさに第一歩となるのです。
カルト的な団体を野放しにしてはいけないということを、みなさんになにがなんでも知っていただきたい。だから私はカルトに関する情報を広く世の中に発信し続けています。
そもそもカルト宗教とはどういうものなのか。マインド・コントロールなどの勧誘の手口や活動内容。収奪や虐待など人権蹂躙の実態。カルト宗教と政治(家)との関係。家族や知人を脱会させる方法と脱会後について。国や私たちがこれからすべきこと。こういったカルト宗教に関する深い知識を身につけることが、あなた自身の身を守るために、家族や知人が被害に遭わないために、そして、被害に遭ってしまった人たちを救うことにつながる、そう信じています。
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