2023年から日本株は「黄金の3年間」になる可能性 逆風の寅年のあとの「卯年・辰年・巳年」に期待

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彼らがなぜ「黄金の3年」として期待するのか。1つはその上昇力だ。1949(昭和24)年の東証再開以来の73年間で各6回まわってきたが、日経平均の平均上昇率はそれぞれ卯年が16.4%、辰年は28.0%、巳年は13.4%と上昇、まさに黄金の3年間になっている。

大逆風に耐えた苦労が実を結ぶ3年間となるか

もちろん「16%、28%、13%程度で黄金といえるのか」との反論もあろう。だが、代表的な3年間の例を見ると、まさに「黄金」なのだ。1987年の卯年、1988年の辰年、1989年の巳年は、いうまでもなくバブル相場最高潮の3年間だった。この間、ざっくり言って1万9000円から3万9000円まで2万円の上昇は、日本の株式市場の歴史における黄金の3年間だった。

また、そのひと回り前の3年間は1975年の卯年、1976年の辰年、1977年の巳年となる。ベテラン投資家は覚えていると思うが、その直前は1973年の第1次オイルショックや国際金融不安や急激な円高によって、1974年の寅年は「戦後の日本の高度成長は終わった」として、日経平均は安値3355円をつけたのである。だが、後から振り返ると、1975年からの3年間は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」へ走りだした3年間だったのだ。

ちなみに、「卯跳ねる」となっているが、ウサギには「飛躍」だけでなく「安全」という意味もある。2023年は60年に一度巡ってくる十干十二支(じっかんじゅうにし)で言うと「癸卯(みずのと・う)」となり、この意味は「今までの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍する年」となる。易学など無縁な投資家諸氏にとっても、何か楽しくなるではないか。

最後に2023年に期待するトピックを1つ挙げたい。中国では、来年3月に開催が予定されている全国人民代表大会に向けて、成長路線に回帰するためのさまざまな政策が検討されている。その一環として、来年1月にも新型コロナウイルスの感染症分類を引き下げる(中国では甲乙丙の3段階あり、新型コロナはペストなどが含まれる甲類並みの扱いが必要とされる乙類と規定)との見方がある。

行きすぎた規制の緩和期待で中国株が動意づいているが、政策の「修正」は事実上、政策の間違いを認めることになる。「ゼロコロナ政策は正しかったが、コロナの弱毒性が認められたので感染症分類を引き下げる」とするのが自然ではないか。それが実現すると、中国人訪日客は爆発的に増加する。黄金の3年の初年度として勢いづくことになるのではないか。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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