平気でネット通販する人が知らない「2024年問題」 タイムリミットが迫る物流危機を回避できるのか

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インターネットでは大容量の画像データなどを送るために通信回線の高速化が進められてきたが、フィジカルインターネットでドライバー不足に対応するには、トラックの積載率アップや大量輸送可能な鉄道や船舶の活用などで輸送能力を確保するしかない。最適な輸送経路と手段を選択するにはさまざまな物流データが必要となるものの、デジタル化が進んでいないためデータが得られず活用も進んでいない。

物流大手の日立物流では、今年1月から自社の物流業務支援システム「SSCV-Smart」を中小物流事業者が1事業所当たり月額1000円で利用できるサービスを開始。カーナビゲーションシステムのジオテクノロジーズは、10月からドライバーのスマートフォンでトラック向けカーナビ、集荷配送先情報共有、動態管理が可能な「スグロジ」を月額2000円で提供するなど、中小事業者のデジタル化を支援するサービスが登場している。物流ITベンチャーのHacobuは、物流DX人材育成のための「MOVOアカデミー」を来年1月から開講する。

フィジカルインターネットは物流革命を起こすのか

これまで紹介した取り組みで「物流の2024年問題」を解決するのは簡単ではないかもしれない。抜本的な解決策は「トラックなどの自動運転システムが本格導入されること」(経産省・中野剛志物流企画室長)だが、当分、先の話だ。「物流危機を回避するためにやれることは何でもやる」との覚悟で、長年の商慣習の改革にも挑む必要があるだろう。

これまで物流コストは発荷主がすべて負担し、着荷主はコストを払わずにトラックドライバーなど物流事業者に荷降ろし作業などを負担させてきた。現状では着荷主には荷下ろし作業の自動化・機械化に投資するインセンティブが働きにくいだけに、物流コストの透明化と公正な負担を進める必要もあるだろう。

インターネットの普及がIT革命をもたらしたように、フィジカルインターネットも物流革命を起こすのだろうか。物流に関わるすべての関係者が危機感と将来ビジョンを共有し、さまざまな課題をひとつずつ乗り越えていけるかがカギを握っている。

千葉 利宏 ジャーナリスト

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ちば・としひろ / Toshihiro Chiba

1958年北海道札幌市生まれ。新聞社を経て2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事。著書に『実家のたたみ方』(翔泳社)など。

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