平気でネット通販する人が知らない「2024年問題」 タイムリミットが迫る物流危機を回避できるのか
「(アマゾンなどの)ECや(ユニクロなどの)SPA系アパレルの大手は、最適な物流設備を自ら構築できるが、大半の荷主企業は自分たちに適した物流設備を選定・検証・導入するのが難しい状況だ。テクラムにはパートナー企業との協業でさまざまなロボットや搬送機器を設置しており、パートナー事業との協業によるエンジニアリング体制のほか、野村不動産内部でも顧客の課題抽出やコーディネートのための人員体制を強化し、顧客ニーズに応じた物流設備の構築をサポートしていく」(都市開発第2事業部物流事業部事業企画課・網晃一課長)
まさに荷主企業をフィジカルインターネットに接続するためのサービスを提供するISPの役割を果たそうとしているわけだ。物流施設事業者は、荷主企業、物流企業、トラック・物流搬送機器メーカーとも競合関係にはないので、物流システム全体を調整しやすい立場にあり、しかも用途に応じて適切な立地を提供できる。
物流業界全体のデジタル化が遅れている
フレームワークスの秋葉氏も「いずれ深刻な人手不足で物流危機が訪れることはわかっていたので、その解決に貢献するにはどこと組むべきか。物流会社や大手ITベンダーではなく、物流インフラを整備する企業だろうと考え、ちょうど声をかけてくれた大和ハウスグループに入ったのが10年前」と振り返る。
今年9月にはソフトバンクグループが搬送ロボットなどで物流ロボット事業に参入しており、フィジカルインターネットでもISPに名乗りをあげる企業が今後も出てくると予想される。
物流業界全体のデジタル化が遅れていることも大きな課題だ。トラック輸送事業者の9割以上が中小企業で、現状では大半が紙の伝票類、電話、ファックスで業務を行っており、「90年代のインターネットが普及する以前に似たような状態にある」(野村不動産・網氏)。
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