ブログで稼ぐ女性が「瓶詰め食品」を始めたワケ 「クラファン開始後3時間」で目標金額を達成

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ところが、今年2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻の影響でノルウェー産サーモンの空輸が滞り、価格が高騰しているうえに安定供給も見込めないことがわかった。これでまた振り出しに戻ってしまったのだ。

ひと瓶で何通りもの味が楽しめるのが特徴

「そもそも輸入ものを使うのはどうなんだろうと思い、国産の食材に目を向けることにしました。そこで兵庫県産の鯛に辿り着きました。その中で今、生産者さんがどんどん減っているという状況を知りました。少しでも国内自給率を上げて、生産者さんたちがこれからも活動できるように少しでも力になれたらと思いました」(海下さん)

兵庫県産の鯛を使って川端さんが作った「彩り野菜と鯛のコンフィ」は、南フランス風にレモンやオレンジ、パプリカを入れて、油っぽさを抑えたさっぱりとした味わいに仕上がっている。とても瓶詰めとは思えない完成度だ。

そのまま食べても美味しいが、クリームチーズを塗ったバケットの上にのせたり、チーズやサラダに合わせたりするだけで本格フレンチのひと皿が完成する。また、残ったソースを茹で上げたパスタに絡めれば絶品のオイルパスタになる。ひと瓶で何通りもの味が楽しめるのがSPOON DELI -OSAKA-の瓶詰めの魅力だ。

とはいえ、本格フレンチのメニューを常温で長期保存が前提となる瓶詰めにするにはクリアせねばならない壁が立ちはだかった。

「工場の担当者と話し合いながら試作と試食をするのですが、どうしても味が変わってしまうんです。食材1つひとつを見直して、納得できる味が完成するまで7、8回は繰り返したと思います。途中でもうダメだと何度も諦めかけました」と、川端さん。

川端さんに限らず、『一将丸』の小城さんや『新世界 串かつ おこま』の店主、棚橋繁一さんも味に対してはいっさい妥協しない。SPOON DELI -OSAKA-の商品は、彼らのそんな姿勢と、それを応援したい海下さんの情熱によって生み出されたのである。まもなく年末年始の休みを迎えるが、筆者はこれらを肴にお酒を楽しもうと思っている。

なお、SPOON DELI -OSAKA-の商品は、ECサイトの他に大阪・梅田の阪神百貨店地下1階の「うまいもんみっけ」コーナーや神戸市東灘区の酒蔵、大黒正宗の直売所 11代目又四郎、京都市中京区の浅野日本酒店、東京 浅草にあるSAKE streetでも購入できる。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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