女性目線がポイント?東京オフィスに新潮流 小型高級オフィスビルが増殖しているワケ
「今はどんな企業でもクリエイティブな発想が求められる時代。オフィスビルにも、発想を転換できるようなリラックスできる空間が求められるケースが多い」と、不動産サービス大手CBREの西村俊則シニアコンサルタントは解説する。
東急不動産は、こうした高付加価値の小型オフィスビルを展開することで、保有物件全体の賃料の底上げを狙う。新青山ビルはその試金石となる。実際、募集賃料は3万5000円と、周辺の同クラスのオフィスより10%ほど高めの賃料設定ができているようだ。
オフィスビルの「ミニクーパー」
小型オフィスビルの開発を積極的に推進しているのは、東急不動産だけではない。同業他社に先駆けて強化してきたのが野村不動産だ。
ワンフロア50~200坪ながらも高機能、高性能を追求した「PMO」シリーズ。2008年6月竣工の「PMO日本橋本町」を皮切りに、これまで17棟のビルを運営してきた。そのすべてが満室稼働で、現在は100社を超える顧客企業を抱える盛況ぶりだ。
入居しているのは、上場を目指す未上場企業が多い。地方に本社を構える企業が東京支社として使用するケースもある。2015年こそ端境期で新棟の建設予定がないが、需要は旺盛で2016年は一気に7棟竣工する計画だ。
同社がPMOシリーズを始めたきっかけは「差別化」だ。「本当は大規模オフィスビルを積極的に手掛けたかったが、競合が多い中で困難が想定された」(野村不動産・ビルディング開発部の阿迦井万樹課長)。一方で、現場から「小さい面積を求めている企業は多いが、ちゃんとしたビルがなく、やむなく雑居ビルに入ってしまうケースが多い」という報告を受けた。
高級感のある小型オフィスビルは需要があるのではないかと判断し、開発に踏み切った。「自動車に例えると『ミニクーパー』。小さいけれど、随処にこだわりがある」。阿迦井課長はPMOの特長をこう説明する。
エントランスホールはゆったりとした空間を確保しつつ、光壁や間接照明を採用して高級感を演出。エレベーターホール前に管理ゲートを設置するなど、セキュリティも重視した。
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