研修なし独学で「担任」増える非正規教職員の現実 正規教員と同じ仕事でも「待遇に差」がある
非正規教員は正規教員と同じように学級担任をしていても、次年度の身分の保障もなく、給与や待遇面でも格差がある。中でも男性が特に問題だと感じているのは、研修の有無だという。
正規教員と同じ仕事でも待遇に差
「初任者(採用選考に合格した1年目の正規教員)には研修があり、指導員もつきますが、『能力がない』と判断された非正規教員にはどちらもない。その後の年次研修もなく、大学で履修した学習以外はすべて独学です」
「調べる会」の山崎洋介事務局長も言う。
「非正規教員は年度途中に急に学級担任を任されるなど、正規教員以上に難しい対応を求められることもありますが、研修やフォローの機会も不十分なまま教壇に立つ場合が少なくありません。中には学級崩壊し、担任が病休に入ったクラスに配置され、まさにノーアウト満塁の場面で三者三振に取って学級を立て直すような人もいる。不可欠な役割を発揮する存在で、正当に評価をすることが必要です」
非正規教員の増加は正規教員の負担も増加させる。首都圏の小学校に勤める40代の女性教員は危機感を募らせている。
「私は現在の学校に勤務して5年目ですが、講師(非正規教員)の先生たちは基本的に1年で異動し、学校や地域のこともわからず、研修の機会も不十分です。講師の先生は病気休職制度などはなく、休めば職がなくなってしまう。周囲の教員が、講師のクラスの保護者との面談に一緒に入り、クラスの授業もみるなど、全力でサポートしています。同僚たちとは『誰かが欠けたら、全員で川底に落ちるね』って話しています」
(筆者:AERA編集部・深澤友紀)
※AERA 2022年11月28日号より抜粋
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