高級「ガトーショコラ」ヒットさせた彼の驚く挑戦 徹底した材料へのこだわり等で人気を集める
ケンズカフェ東京は、実は当初はイタリアンレストランとしてオープンしたが、メニューにあったガトーショコラがとりわけ評判を呼んだことから、客の要望も受け入れつつ“高級ガトーショコラ専門店”へとシフトチェンジを図っていった。
さらには2015年からはファミリーマートのスイーツ監修も始めた。今年で8年目になる。ガトーショコラはもちろん、ほかの焼菓子やクリスマスケーキ、アイスクリームやドリンクなど、これまで約100商品を生み出してきた。
大手コンビニエンスストアでこれだけ長い年月にかけて、多くの商品をプロデュースしてきた個店はなかなか見当たらない。たんに知名度があるということだけではなく、実際にコンビニで“売れる商品”を開発しているからこそだろう。
お店の知名度も高まる中で、2021年11月にはフランチャイズ展開も始めた。記念すべき1号店は静岡県でオープンし、現在は全国17店舗を展開する。東京では清澄白河、自由が丘、青山、浅草に展開している。今年の12月には、日本を代表するランドマークタワーの東京タワーでの開業を予定している。
「フランチャイズ展開をしているのは、儲けたいからではありません。販売規模が大きくなれば、よりよいチョコレートを仕入れることができるからです。今でも世界的なチョコレートメーカーにオリジナルのチョコレートをつくっていただいていますが、仕入れ規模が大きくなればなるほど、よりよいものを開発していただけます」。氏家さんはフランチャイズ展開を始めた経緯について、そう語る。
絵本の出版への想い
ここまで順風満帆のようにも思えるが、氏家さんの身体には大きな異変が起きていた。
「2021年の春くらいから、少し走ったりするだけで息切れするようになりました。ただ、仕事が非常に忙しかったこともあり、放っておいたところ、ひどくなっていったんです。とうとうこれではダメだと思い、2022年4月に検査を受けたところ、狭心症であることがわかり、6月に冠動脈バイパス術を受けることになりました」
足の血管を心臓に移植する大手術であり、最悪な事態も覚悟したという。全部で8時間を要し、6カ所もバイパスをつくり、手術は成功に終わった。
「人生でいろいろなことができて、もう悔いはないという思いでした」と語る氏家さん。その一方で心に引っかかっていたある想いもあったという。それは絵本の出版だ。
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