こうしたわけで、発明家の権利を認めることに関してはイギリスが後に続く国の手本となり、ヨーロッパ各国に刺激を与えることになった。
すでに1624年には専売条例(Statute of Monopolies)が制定され、領主が正真正銘の最初の発明家以外の人物に商業的独占権を与えることを禁じている。
最初の発明家だけが14年間にわたる発明と新規事業の独占を認められた。特許制度の整備に向けた第一歩である。
発明特許に関する世界初の法律
アメリカ建国の父たちやフランスの革命家はこれに触発され、ほんとうの意味での発明特許に関する世界初の法律は1790年にアメリカで制定された。翌91年にはフランスでも制定されている。
それ以前はギルドが厳しく同業者を管理しており、習得した技術知識の秘密が漏れないようにした。
ギルドは勢力範囲内での職業の独占を目論んでおり、近隣都市からの参入を阻もうとした。
ブリュージュとガン、ジェノバとヴェネツィアの間で激しい縄張り争いが繰り広げられたのはその何よりの証拠である。
職業技術の習得が許されるのは、ギルドから資格を認められた徒弟だけだ。秘密厳守を裏切ったら恐ろしいことになる。
特許制度の出現は、イノベーションと技術の進歩に二重の効果をもたらした。
まず、一時的にもせよ自分の発明を独占的に活用し利潤を独り占めする権利を発明家に与えることで、発明の意欲を高めた。
次に、発明を支える知識を公開することで知識の普及を後押しし、それを活用した次の発明を促したのである。
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