東洋ゴム、「免震データ改ざん」の深刻度 2007年の不正の教訓は生かされなかった
現状で東洋ゴムとしては「対象物件の損害、事故が発生したという事実は、把握していない」という。今後の対応については、安全性を確認すべく、建設会社や設計会社に構造計算を依頼。確認できれば認定を取り直す。そして「万が一」、安全性に懸念が生じた場合、「他社製代替品も含め、交換などの対応を可及的速やかに進める」としている。
ちなみに免震ゴムは、小さいものでも1基100万円以上。ジャッキアップして取り替えるため、建物自体を取り壊す必要はないが、それでも数トンの重さがあるため、相応の時間と費用、労力がかかる。
2007年にも耐火性能を”偽装”
振り返ると、東洋ゴムは2007年、学校などで使う断熱パネルでも、耐火性能を”偽装”し、大臣認定を不正取得。基準よりも総発熱量が約3倍だったことが発覚した。この時には当時の片岡善雄社長が辞任する事態にまで発展している。
今回、経営責任について山本社長は、「今はすべての物件に対してお詫びし、ご説明することを最優先に進めていくことが責任」と、述べるにとどめた。自身や担当者の社内処分についても公表していない。
一方、国交省は3月17日午後、東洋ゴム化工品の明石工場(兵庫県)に立ち入り調査。会社から任意での残存データ提供を受けている。太田昭宏国交相は「日本の免震技術に対する信頼を失わせるもので許しがたい」と厳しく非難した。
東日本大震災以降、建築物の安全・安心について、消費者の見る目は格段に厳しくなった。当然ながら、現在居住し利用している被害者に与える、心理的影響も大きい。東洋ゴムはいったいどんな形で責任を取るのか。信用回復への道は、とてつもなく険しい。
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