「減税を盲信する人」に知ってほしい公共軽視の罠 パンデミック・エネルギー・教育・医療、課題山積
今日の世界はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)によるパンデミックによって大きな打撃を受けてきており、市場の回復力がこれまで想定されていたよりも弱くなった。ワクチンの急速な開発とそれの広範な普及は、大規模な政府投資によるものであった。政府はまた、パンデミックによる景気後退が不況に発展するのを食い止めた。それがなければ不況に陥っていたであろうが、すべての国で政府は被害を受けやすい人々を守ってきた。
この危機に際しては─政治的相違を超えて─、すべての人々が政府を歓迎するようになった。なかでも、ニュージーランドのように、政府と科学に強い信頼を置き、強力な公共部門を最もうまく構築してきた国は、アメリカのような国よりもずっとうまく対処してきた。アメリカでは、100万人以上の死者数を記録し、またパンデミック以前から低下傾向にあった平均寿命がさらに低下することになった。
「市場はうまくいく」という前提が崩れる
強力な市場経済であると考えられているアメリカでは、空気清浄機や検査キットのような複雑な物は別にして、マスクや保護用具のような単純なものでさえ生産できなかった(また購入したマスクが有効であると確信できるように標準化を推進できなかった)。そして自動車や乳児用ミルクの大量の不足に直面した。それは、末期のソ連で見られた光景であるが、先進国の近代経済では予想もできなかったことであった。
戦時中に見られるような強力な政府介入によって、物資不足にうまく対処した国がいくつかあった。こうしたすべてのことは、市場がうまくいくという前提から始まる考え方の基礎を弱めることになった。
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